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172 完成! とんでもない事態に……!

 

 出来上がったものを味見してみると甘口カレーそのもの。


 これは嬉しい。会心の出来だぞ。



 ミミも食べられるように甘口にしたけど、ちゃんとスパイスのバランスが取れている。


 逆に辛口にしていたら辛味で他のスパイスの味が感じられず、調整に失敗したかもしれないな。


 と、自己満足に浸っていると、ドタドタと激しい足音が近づいてきた。


「すまない、匂いが気になって集中できない! も、もう少し何とかならないか!?」


「す、すみません。今日はもう完成してしまったのでどうしようもないですが、次回から気をつけます」


「助かるよ。その恥ずかしい話なんだが、とてもいい匂いのせいでお腹が減ってきてしまってな。折角美味しい物を作ってくれているのに申し訳ない」


「謝らないで下さい。俺の方こそすみませんでした。匂いのことまで気が回っていなかったです」


 ジョゼさんに遠慮がちに言われ、即座に謝る。


 カレーは匂いが強い。きっと作業場までスパイシーな香りが充満してしまったのだ。


 これは失敗だ。


 もしかしたら昨日もラー油の匂いが作業場まで行っていたかもしれない。


 美味しい物を食べて作業を頑張ってもらいたいのに、これでは本末転倒だ。


 ジョゼさんに集中して作業してもらうためにも、匂い対策が必要だな。


 とりあえず、調理場まで来たジョゼさんに料理が出来たことを伝え、夕食にする。


「それではいただこうか」


 と、ジョゼさんがカレーをひと口。


「っ! これは旨い! なんという料理なんだい?」


 匂いが気になって調理場まで来ただけあって、反応は良好だ。


「カレーですね。俺の好物です」


 ジョゼさんに料理名を答えると、ミミが食べる手を止めて満面の笑みを浮かべる。


『ミミもカレー大好き!』


 と、言うミミのお皿のカレーは半分以上無くなっていた。


 美味しくて一気に食べてしまったみたいだ。


「そっか、また作ろうね」


『ほんと? やったー!』


「私も期待している。これなら毎日でもいいくらいだ」


 と、ジョゼさんからも好評を頂く。


 その表現がとんかつを食べた時のミミの感想と似ていてちょっと笑ってしまった。


 二人ともおかわりを言ってきたので、二杯目はアイテムボックスからとんかつを取り出してカツカレーにした。


 これも二人に大好評。食後にジョゼさんが、食べ過ぎてしまったとボヤいていたほどだ。


 やっぱりカレーは美味しいよね。


 しかし、カレー自体は大好評だったが、匂いの問題を改善していかないとだめだな。


「カレーじゃなくても匂いはするしなぁ……。クリームシチューとかでもだめだよな」


 食事を終え、片づけをしながら匂いのことを考えていると、自然と呟きがもれてしまう。


 というか、旨い料理は香りもしっかりしているものだ。


 スパイシーなものからクリーミーなものまで、種類は様々だが、匂いは必ずする。


 クッキーなんかも挑戦してみたかったけど、工房で焼くのは止めておいた方がよさそうだな。


 ――ジョゼさんの工房はそれほど広くない。


 料理をすると、どうしても匂いが作業場まで漂ってしまう。


 火を使わない料理にすれば匂いを抑えられるが、そうなるとレパートリーが激減する。


 ジョゼさんには美味しい物を食べて、作業を頑張ってもらいたいしなあ。


「こうなったら、外で作ってアイテムボックスで持って帰るか」


 結論、野外で作って持ち帰る。これしかない。


 時間はたっぷりあるし、往復の時間を入れても問題ない。


 ただ、外で食事を作ってきますとジョゼさんに言えば、絶対遠慮する。


 ここは、依頼をこなすために外に出るということにしておくか……。


 うん、大分方向が定まってきたぞ。



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