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169 焼き作業でまさかの事態に……!

 

 失敗分は明日以降の俺の昼飯にするかな。


 と、失敗作の処分について考えながら油を敷いてフライパンを熱し、ギョウザを並べていく。



「ぎゅうぎゅうに敷き詰めた方がいいよな」


 火加減に自信がないので、ドキドキだ。焦げないでくれよ……。


 しばらく焼いたら、水を入れて蓋をして、蒸し焼きにする。


 底にくっ付かないようにフライパンを揺するのがコツと書かれていたので、こまめに揺すっておく。


 フライパンに入れた水がなくなると音が変わるのが完成の合図。


 蓋を開けてみると旨そうな色味に変化したギョウザが姿を現した。


「さて、出来上がったのを取り出すか」


 ギョウザの上に皿を引っくり返して載せ、フライパンを引っくり返せば綺麗に皿に載った。


「むう、ちょっと焦げてるな」


 ギョウザを皿に載せてみると、フライパンと接していた生地がかなり黒くなっていた。


 最終的に水を入れて蒸し焼きにするんだから、火加減はもう少し弱めでもいいのかな。


 と、試行錯誤し、三回目で絶妙の焼き加減を実現。


 その後は、同じ焼き加減を再現しようと、ひたすら焼きまくった。


「ふう……、なんとか全部焼けたぞ」


『いい匂いだね!』


「うん、上手く焼けた気がするよ。残す所はラー油だけだな」


 そう、ギョウザといったらラー油。


 といっても、ラー油は売っていなかったので、自作するしかない。


 そんなわけで、最後はラー油作りに挑戦だ。


 ギョウザはラー油がなくても食べられるので、ここは気楽に挑む。


 熱した油にシナモン、鷹の爪、ブラックペッパー、花椒、ショウガ、白ネギの青い部分を投入。


 入れた香味野菜が狐色になるまで揚げて香りを移していく。


 その間にボウルの中に一味に水を注いで混ぜておく。


 皮を作ったときみたいにポロポロした感じになればいいらしい。


 そこへ材料をこした油を少しずつ入れていく。


 熱した油を入れるたびにジュワッと音が鳴るのでちょっと怖いぞ。


 冷めるのを待って油を越しとればラー油の完成だ。


 レシピのお陰でやり方が分かるせいか、案外失敗しない。


 今回もいい出来だ。


「変なアレンジを加えず、レシピ通りにやるのが一番だな」


 ラー油の出来に満足した俺は、今日食べる分のギョウザをテーブルに置き、残りをアイテムボックスへ収納。


 そして、同時進行で作っておいた味噌汁と、ご飯をセット。


 本場ではギョウザでご飯を食べないそうだが、俺はそれだともの足りないんだよね。


 そもそも、向こうではギョウザといえば焼きギョウザじゃなくて水餃子らしいし、深く考えないようにしよう。


 最後にラー油と酢醤油を置いて準備完了だ。


「よーし、ジョゼさんを呼びにいこうか」


『はーい!』


 元気な返事を返してくれたミミと一緒に作業場へ向かい、ジョゼさんを呼びに行く。


 いつもなら声をかけても反応しないくらい集中しているジョゼさんだったが、今日は着替えを済ませて待っていた。


 夕食が出来たことを伝えて、一緒にダイニングへと向かう。


「今日はまた変わった料理だね。実は少し前から匂いがして気になっていたんだ」


 ダイニングに来たジョゼさんがソワソワした表情でテーブルを見つめる。


 この反応なら、ギョウザの味を気に入ってもらえるかもしれないな。


「このタレにつけて食べるんです。こっちは辛いのでお好みで量を調節してください」


 と、酢醤油とラー油について説明する。


「ほほう。私は辛いのも好きだから、少し多めに入れてみようかな」


 俺の説明を聞き、ジョゼさんがラー油を多めに注ぐ。


 その様子を見ながら、ミミの分のタレも小皿に注いでいく。


「ミミは辛いの苦手だから、これは入れない方がいいかな」


 ミミは辛いのや苦いのは苦手なので、ラー油は入れない方がいいだろう。


『ちょっとだけ入れてみたいかも』


 どうやらジョゼさんの様子を見て、興味を引かれたっぽい。


 ラー油を見てそわそわしている。


「じゃあ、気をつけて入れてね」


『うん。そーっと、そーっと……。これ位なの』


 俺がラー油の入った容器を渡すと、慎重に一滴だけタレに垂らすミミ。


「よし、じゃあ俺も」


 最後に俺がラー油を使って、皆の準備が整う。


「ではいただこうか。いただきます」


「いただきます」


『いただきまーす!』


 挨拶と同時に皆でギョーザをつつく。


 この街では箸を使う人がいないので、ギョウザもナイフとフォークを使って食べる。


 なんか変な感じだけど味に変わりはない。


「うん、上出来だな」


 表面はパリッとしつつも中はもっちり。皮をかみ切ると、肉汁が溢れる。


 具材も主張しすぎない程度に味が付いていて申し分ない。これはいい出来だ。


 何よりラー油が上手くできている。


 一日寝かせたり発酵させたりするような工程があると勝手に思い込んでいたが、案外手軽に出来たのが助かった。


『美味しいね! 辛いの食べれたよ!』


 とミミが嬉しそうに顔をほころばせる。


「やったな!」


 ミミに笑いかけると、『んふー♪』と、得意気に鼻を鳴らした。


「ほう、これは旨いな。ひと口サイズのせいか、止まらない」


「気に入ってもらえてよかったです」


 ジョゼさんから好評を頂き、ちょっと嬉しい。


 二人がいつも美味しそうに食べてくれるお陰で、料理を作るのが楽しくなってきたぞ。


 これからも二人に美味しいと思ってもらえる物を作りたいな。


 俺はギョウザを堪能しながら、明日作る夕食について考えを巡らせる。


 食べてもらいたいもの、自分が食べたいもの、作ってみたいもの、色々あるが、まだまだ腕が追いつかない。


 明日は何を作ろうか。


 その日は寝る直前まで色々と考えることとなったが、いいメニューは思い浮かばずじまいだった。



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