144 工房潜入! 内部はとんでもなことになっていた……!
改めて挨拶すると、ピンクのクマのぬいぐるみがモジモジしながら、手招きする。
「はい、お邪魔します」
『どんなところだろうね!』
「それは着いてからのお楽しみだね」
ミミと頷き合った俺はジョゼさんの後を追った。
「汚い所だけど我が家だと思って遠慮しないでね」
「なんでヴィヴィがそんなことを言うんだ!」
「でも、事実でしょ?」
「そんなことはない!」
「それにしても大きな建物ですね」
二人がまた口論を始めそうになったので、話題を逸らそうと試みる。
しかし、本当に大きいな。
ジョゼさんは一人だというし、これだけ広いと管理も大変じゃないのだろうか。
「そうかな? まあ、一人で住むには少し大きいかもしれないな」
「ええ、掃除とか大変そうです」
「ああ……、うん。掃除は大変だ」
俺の言葉に、ジョゼさんが俯いて言葉を詰まらせる。
「やってないくせに」
「ぐ……」
すかさず入るヴィヴィアンさんの突っ込みに、ジョゼさんが押し黙る。
「忙しいんだからしょうがないじゃないか」などと、ブツブツと愚痴を言うジョゼさんは宮殿のような建物の前を通り過ぎていく。
「あれ? ここじゃないんですか?」
「いえ? そこは私の工房よ。ジョゼのは隣になるわね」
「そうだったんですね。おお……、ここがジョゼさんの工房」
それは倉庫のような外観の建物だった。
宮殿の隣にあったので、その倉庫と誤解していたことは黙っておいた方がいいよな。
でも、ヴィヴィアンさんの建物よりよっぽど工房っぽい。
『クマさんの看板が付いてるね!』
「トレードマークなのかな」
看板には「クマさん工房」と書かれている。
俺とミミが工房を見上げていると、入り口からピンクのツインテールに角の生えた人が緊張した面持ちで出てきた。
ぬいぐるみではない本体のジョゼさんだ。
今日の服装はゴスロリファッションではなく、作業着だった。仕事中だったのかな。
「よ、よく来たね……。しゃ、しゃあ、上がって」
ジョゼさんは遠隔操作していたクマのぬいぐるみを抱え上げると、工房の中へと入っていく。
「お邪魔します」
『お邪魔します!』
「相変わらず、汚いわね〜」
中に入ると同時にヴィヴィアンさんが悪態をついた。
「なぜ、ヴィヴィまで来ている! 自分の工房に帰ったらいいじゃないか」
「そんなこと言わなくでもいいじゃない。折角まるもっちー君たちに会えたんだから、お茶ぐらいさせなさいよね」
「わ、分かった。こっちだ」
ヴィヴィアンさんの言葉にジョゼさんが渋々了承し、客間に案内してくれる。
しかし、そこは物が乱雑に積まれ、立つスペースを確保するのがやっとの部屋だった。
せ、狭いぞ……。
「もう……、座れる場所がないし、テーブルの上も物だらけじゃない。ちゃんと掃除しなさいよね」
するとヴィヴィアンさんの指摘にジョゼさんが切れ、テーブルやソファの上にあった物を無理矢理床に押し落として場所を確保する。
「それならこれでいいだろ! 一人で全部やってるから、手が回らないんだ! 別に整理や掃除が苦手なわけではないんだからな! みんな、そこにかけるんだ!」
「し、失礼します」
俺はジョゼさんの迫力に負け、ミミとソファに腰掛けた。




