133 水面下でとんでもないことが進んでいた……!?
俺は心の中でそう言い訳しながら、二人が付いてこられる速度を維持し走り続けた。
「「逃げた!」」
「しかし、こうやって見ると荒れ放題だな……」
帰り道、周囲を見渡せばヘルセンチビートルが通った跡は木々が倒れ、地面が陥没している。
残された痕跡が、あのムカデがどれだけ巨体の持ち主だったかを物語っていた。
「で、ギルドには何て報告したものかしら……」
「正直にそのまま言えばいいんじゃない?」
「信じてもらえるかしら……」
「……ああ、確かに」
街を目指す中、二人の話題はギルドへどう報告するかに変わっていた。
色々と常識を逸脱した出来事が起きたし、事実をそのまま話して信じてもらえるかどうかを悩んでいるようだ。
「多分そのまま話しても大丈夫だと思いますよ。あのムカデ、街に入り込んでいたので、目撃者も沢山いるんじゃないかと」
壁を破って街の中まで入っていたし、多くの人がヘルセンチビートルを見たはずだ。
その辺りのことは話せば信じてもらえるだろう。
「それもそうね。私たちが報告すべきことは山の調査について。ムカデを誰がどうやって倒したかについて報告する必要はないわ」
「お、そうか! それはまるもっちーが一人でやればいい話だもんね」
「そういうこと。私たちは山の報告に徹して、後は現場に居なかったから分からないと言うことにするわ」
「了解! 見てないことは話せないもんね!」
二人はニヤリと口端を上げ、ガッチリと握手する。
そして、
「「それ以外の報告はよろしく」」
と、とびきりの笑顔で俺に言ってきた。
く……、そうきたか。
やっぱり説明しないと駄目だろうか。
信じてもらえるかどうかも疑わしいし、気が重いな……。
…………
場所は変わってギルドマスターの部屋。
山の調査報告を終了させたオレリアさんとニコルさんは去り、残されたのは俺とミミの二人。
なぜ残っているかといえば、ヘルセンチビートルを倒したいきさつを説明しているためである。
「なるほど、ムカデを掴んだあと高い足場で振り回して放り投げ、魔法で消し飛ばした。……というわけだな?」
「ハイ」
「分かった。で、ブラックドラゴンや巨大ムカデが追加で現れるようなことはもうないんだな?」
「え? あ、はい。新しい個体は発見できませんでした。全ていなくなったと思います」
「……ふぅ〜〜。やれやれだな」
ギルドマスターは椅子の背に体重を預け、深い息を吐く。
「てっきり、あのムカデを倒したことを信じてもらえないかと思っていました」
「――見てたよ。あんな高いところでグルグル振り回してたからな。家の外に居た奴は大体お前の姿を見たんじゃないか? 遠くても人が一人で振り回しているのは分かったと思うぞ」
「そ、そうですか……」
「ああ。これでお前の像を建てるという話も前進するだろう」
「え?」
今なんて言ったんだ。聞き間違いでなければ、洒落になっていないぞ。
「良かったな。像を建てる話が出てしまうほど、お前が街の色んな所で働いていたり、食べ物を配っていたりしたせいで、皆お前の顔を知っている。あのムカデを倒したのは誰だ、とはならなかったわけだ」
「……ナルホド」
なんか決まったことを聞かされているみたいだ。
こちらに決定権はないのかな……。




