285話 キングスシャドー その3
コミックス4巻が9月8日に発売予定です。
小説とは内容が異なっていますので、お楽しみいただければ幸いです。
「シグルドさん、火炎瓶が出来ました!」
「よし、後は適当に投げろ!」
「は、はい!」
適当に投げて大丈夫なんだろうか? シグルドさんが受け止められない方向に飛んだらどうしよう……そんな不安がよぎってしまった。
「大丈夫だよ、アイラ。シグルドさんを信じて!」
「わ、わかったわ、マリアベル!」
マリアベルからも元気付けられてしまった。よ、よ~し……私は思い切って火炎瓶を投げた。
「ナイスだ、アイラ!」
目では追えないほどに素早い動き……シグルドさんは私が投げた火炎瓶をいとも簡単に斬ったようだった。それとともに吹き上がる爆炎……あれ? 私の火炎瓶ってあんなに炎が出たっけ? そんなわけはない。
「ギシャァァァァァ!」
その爆炎に巻き込まれたからか、キングスシャドーが明らかに苦しんでいた。
「ど、どうなってるの……あれ?」
「多分、シグルドさんが剣撃に炎属性を付与したんだと思う。剣撃の破壊力で爆炎が大きく舞ったんだよ」
「な、なるほど……そういうこと」
マリアベルから説明を聞いても良く分からなかった。でも、シグルドさんが火炎瓶を有効活用してくれたのは間違いないようだ。キングスシャドーにダメージが入ったのが何よりの証拠だし。
「ヴヴヴヴヴ……!」
「ふん、これでようやくダメージを通せるというわけだ。覚悟するんだな」
キングスシャドーは弱っているようだ。これは勝負あったかもしれない。まだ安心するのは早いけれど、この状態でシグルドさんが負けることはないだろう。
「ヴヴヴヴヴ……」
キングスシャドーは焦っているのか後退しているようだった。先ほどまでの覇気が嘘のようになくなっている。たった一撃でここまでのダメージを与えるなんて。シグルドさんはやはり凄い人だ。
「ヴヴ……!」
と、その時だった……キングスシャドーと目が合ったのは。えっ? 目が合ったということは向こうがこちらを見たということ? それって……。
「アイラ! その場から離れろ!」
「きゃあ!」
キングスシャドーの次の行動は……よく考えれば分かることだった。あれにもそれなりの知能があったというわけで……この場にいる中で一番弱い生物を狙ったんだ。私はキングスシャドーに狙われてしまい、命を……失った?
どうなったの……目の前が暗くてよくわからない……。




