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284話 キングスシャドー その2


「ちっ、かなり素早いな……それに、この耐性は……」


「ヴヴヴヴヴヴ」


 キングスシャドーに攻めあぐねているシグルドさん。彼がこんなに苦戦しているのを見たことがなかった。まあ、今までもそんなに戦っているところを見たわけじゃないけれど。


 それにしてもロンバルディア神聖国では巨大な竜巻を起こしたりと、色々と規格外なはずのシグルドさんが……。


「まずいよ……シグルドさん、相手にダメージを与えられていない!」


「そ、そんな……!」



 予想していたことだけれど、やっぱりまだキングスシャドーにダメージを与えられていないんだ。マリアベルが言うんだから間違いないはず。


 どうなんだろう……シグルドさんは見たところ、二刀流で相手を斬り付けるタイプのようだけれど。キングスシャドーみたいな相手は天敵になるのかもしれないわね……。グリフォンを楽に倒せる彼でも影みたいな敵には厳しいってこと?


「そんな……シグルドさんでも勝てないなんて、そんなことあるはずが……!」


 シグルドさんはロンバルディア神聖国の瘴気だって分散させた実力者だ。いくらSランクモンスターと言っても勝てないなんて信じられなかった。


「アイラ!」


「えっ……は、はい!」


「火炎瓶を作ってくれ。今すぐにだ!」


「えっ……火炎瓶?」



 シグルドさんから意外な注文が来た。回復薬ではなくて攻撃系のアイテムの精製依頼だ。物理攻撃が効かないから属性攻撃をするということ? でもキングスシャドーに火炎瓶程度が効くとはとても思えないけれど……。


「さっさとしろ!」


「わ、わかりました……!」


 シグルドさんの意図は分からないけれど、ここは頼られているということだ。守りの方はマリアベルがしてくれているから……私は簡易錬金セットで火炎瓶を作ることにした。


「大丈夫だよ、落ち着いて。敵からの攻撃は私がガードするから!」


「う、うん。ありがとうマリアベル」


 それからすぐに火炎瓶は完成した。私の実力を持ってすればすぐに完成する代物ではあるし。


 私の役目は……ただ一つだった。火炎瓶の確保……シグルドさんやマリアベルに守ってもらってるからできる事業でもあった。


 感謝しないといけない……今の私の立場に関して。私の薬は……こういう人達に使われているのだと。

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