282話 カーゴ遺跡へ その3
「はあ……私は正常、正常なんだってば……」
「う~~、なんだかアイラの様子が変だよ」
「こいつはたまにおかしくなるんだ。放っておけ」
シグルドさんとマリアベルから放っておかれているけれど、カーゴ遺跡で私達は暖を取っていた。今日はここで野宿ということになるわけで……携帯用の寝袋は持ってきているけどね。
「コイツは最近の売り上げのレベルが良く分かっていないんだ」
「シグルドさんに言われたくありませんよ! 倒した魔物の素材とかほとんど持ってないじゃないですか!」
「必要な物は取ってある。心配するな」
「いえ、心配とかではなくて……いいのかな?」
シグルドさんが手放した素材類……私が拝借したのもあるけれど、数万スレイブにはなりそうだった。
「シグルドさん、今まで捨てた物を合わせたらすごい額になりそうですね。今回の冒険以外も含めて。なんだか勿体ないような」
「あまり大荷物を抱えるのは好きではないからな。お前もそうだろう?」
「いや……そうかもしれませんけど」
「それに……」
シグルドさんは私を見てそっぽ向いてしまった。どうしたんだろうか?
「なんですか? それに……て意味深ですけど」
「なんでもない。お前はマリアベルから離れないようにしておけばいい」
なによ~~なんか気になるじゃない。マリアベルから離れるなっていうのはそうなんだろうけれど。さっきから、マリアベルは魔法障壁を展開している。シグルドさんと同じ技だ。近くの人間にも纏うことができるけれど、あまり離れすぎると無理なんだって。
「でもさ、最近大気がおかしいよね~~」
「ん? どういうことだ、マリアベル?」
あれ、さっきまで和やかだったのに、シグルドさんが急に真剣な表情になったわ。マリアベルの言葉に反応してだと思うけれど。
「ロンバルディアの大気がおかしい気がするんだよね。何か大きな事件が起きないといいけど……」
「ええ……これまでも大きな事件あったのに……」
瘴気の事件や誘拐事件など、私が来てからだけでも2つもあったんだから、勘弁してほしいわね。しかも、クレスケンス本人の可能性があるマリアベルが言うんだから、余計に心配になるわ。そこら辺の占いよりよっぽど信憑性がありそうだし……。
「マリアベルが言うんだ。警戒しておくに越したことはないが……それより、寝ている暇を与えてくれないらしい」
「えっ、どういうことですか?」
「敵だ、マリアベルから離れるなよ」
え……どこにも敵なんていないと思うけど。と、思った瞬間だった。シグルドさんがいた地面が崩れ去り、中から黒い影みたいなものが出て来たのだ。あんまりよく見えないけど……。シグルドさんは避けたようだけど、正直、動きが速くて分からない。
「あの魔物って……」
「私は知らないけど……かなり強いよ、多分」
マリアベルが汗をかいている。ダークドラゴンにも動じなかった彼女にしてはあり得ない態度と言えるかしら。え、でも、この遺跡って中堅程度なんじゃ……。
「キングスシャドーか……まさか、カーゴ遺跡に現れるとはな。どうなってやがる……?」
シグルドさんの表情は分からないけれど、かなり警戒しているみたいだった。エコリク大森林みたいなことにならないわよね……? あの時は本当に大変だったし……。大丈夫、マリアベルとシグルドさんを信じている!




