277話 師匠 2
「ふぉふぉふぉ、その方がアイラ・ステイトじゃな?」
「は、はい……そうですけど……」
いきなり現れた老人と言えばいいのかしら? なんだか凄まじい殺気を感じるけれど……。
「アイラ。俺の師匠のアルファードだ」
「ああ、そうなんですね」
シグルドさんの師匠と聞いて納得が行った。それ程の雰囲気を擁しているというか……見た目とは裏腹の人物だったから。
「アルファードさんですか、よろしくお願い致します!」
「うむ、元気な娘さんじゃな。こんな孫がワシにも欲しかったわい」
おじいちゃん……という雰囲気かしら。私の本当のおじいちゃんは既に亡くなっているので、懐かしい響きだった。
「師匠の実年齢からすれば、ひ孫レベルなんでは? それとももっと上か……」
「ふぉふぉふぉ、確かにそうじゃな。孫というには、アイラの年齢は若すぎると言えるじゃろう」
え、そうだったの? まだまだ元気そうに見えるけれど、アルファードさんの年齢はいくつなんだろう。その後、アルファードさんは私の店の品揃えを興味深そうに見ていた。
「う~む、噂には聞いておったが3大回復薬の全てが販売されておるのか……恐ろしいな」
「ええ、俺もそう思いますよ。アイラの店は普通ではないですね」
アルファードさんもシグルドさんも、私のお店を褒めてくれている。なんだかむず痒かったけれど、悪い気分ではなかった。
「ところで……この紙はなんじゃ?」
「あ、これですか? ええと、前に話だけは出たんですけど実現できなくて……一定の買い物をしてくれた人への感謝として、割引券を作ろうかなって」
「ほほう、割引券とな」
「ええ、2万スレイブを購入してくれた人に、30%割引の券を渡す予定なんですけれど」
数字はまだ適当な部分があったりする。実際に行ってみての評判とかで変えるつもりではあるけれど。
「2万スレイブもの買い物を1回で済ませる客がどのくらい居るのかって話だがな」
「あ、それは……」
なんとなくシグルドさんやアルファさん、カミーユみたいな上位の冒険者を想定していたけれど、お客さんの大半はそうではないのよね。確かに2万スレイブ以上を買って行くお客さんは稀だわ。
「まあ、30%もの割引券が付くのだから、そのくらいの額でもおかしくはないか」
「そ、そうですよね! あとは買い物の額に応じて、10%割引券とかも作れば……!」
即興で考えた事柄だけど、シグルドさんは意外にも頷いていた。
「ふん……まあ、普通の店は5%割引とかが精一杯だからな。目玉にはなるかもしれんな」
なるほど……目玉になれば、お客さんも増える可能性がありそうね。
「なるほど! それは悪くないかもしれないな! 流石はアイラだ」
「えっ、アルファさん……?」
今度はアルファさんから称賛されてしまった。これって効率良いことなのかしら?
まあ、どのみちお客さんの反応で変わる事柄ではあるけれど……割引券の提案は悪くはないみたいね。




