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275話 ドラゴンと少年 2


(エディ・スミス視点)


「うわ~~~~!」


 僕はシグルドさん、マリアベルさんと共にダークドラゴンの背中に乗っていた。僕らを乗せたダークドラゴンのフェンは、大空へと羽ばたいている。振り落とされないように必死で背中に乗っているけれど、そこから見える景色は絶景だった。


「どうだ、エディ? この景色は」


「はい、とても素晴らしいと思います……」


 心が洗われるようだった。些細な出来事がどうでも良くなってくるというか……。


「ふん、楽しそうで何よりだ」


「シグルドさんはどうしてこの景色を見せてくれたんですか?」


「ん? 妙なことを聞くんだな」


「ええ……」


 最近のシグルドさんの行動は不思議に思うところが多かった。なんというか、僕のことを想って行動してくれているというか。以前はもっと突っぱねていたのに……。


「ふん、別にどうということはないが。また、暴走を引き起こされては迷惑だからな。お前にはこういった大きな経験が必要だということだ」


「ああ、なるほど……」


 その為だったのか、シグルドさんが気に掛けてくれるのは。当然と言えば当然のことか。


「それに他人事というわけでもないからな」


「えっ?」


 どういうことだろう? 他人事ではない……?


「まあ、そんなことはどうでもいい。それよりもマリアベルに感謝しておけ。この絶景が見れるのはそいつのおかげだからな」


 確かにその通りだった。おそらく、シグルドさんだけではダークドラゴンの背中には乗れないのだろう。ダークドラゴンが拒絶するのかもしれない。


「ありがとうございます、マリアベルさん。おかげで素晴らしい景色が見れました」


「えへへ、気にしないでよ! フェンのおかげなんだしさ! ね、フェン?」


「ぐおーーーーーん!」


 マリアベルさんの言葉に反応するように、ダークドラゴンのフェンは叫び声をあげた。照れているマリアベルさんも可愛かった。国によっては飛空機械の技術の確立はされているようだけど、まだまだ空を飛んだことのある人間は少数だ。そういう意味では僕の今の経験は貴重だと言える。というより、ドラゴンの背中に乗って飛んだことのある人間はほとんど居ないだろうけどね……。


 冒険者生活を今後も行って行く上で、僕に足りないのは圧倒的に経験値かもしれない。どんな状況に置かれても動じない心を優先して獲得しなければ、いつかは死んでしまう職業だろうし、そういう意味ではシグルドさんの行動はとてもありがたいものだった。


 そんな心の重要さを教えてくれたわけだしね。


 その後、僕達はしばらく空を飛んだ後、首都の郊外へと降り立つことにした。


「さて、これからどうするか……」


「ふぉふぉふぉ、まさか本当にダークドラゴンに乗っていようとは……末恐ろしいものじゃな」


「えっ?」


 僕達がフェンから降りた時、近くにいたと思われる老人が話し掛けてきたのだ。あれ? この人どこかで見たような……。


「師匠、なぜここに居るのですか?」


「えっ、師匠……?」


 シグルドさんの言葉に驚いた様子でマリアベルさんが言った。シグルドさんの師匠……? それにこの人は……確か。


「アルフォード・レンドラーさんですか、ひょっとして……」


「ふぉふぉふぉ、そちらの少年に名前を言われるとはな。ワシも有名になったものじゃて」


 間違いない、この人は冒険者のアルフォードさんだった。アルフォード・レンドラー……100年以上の年月を楽に生きていると言われる、現代の冒険者界隈に於いて最も経験に優れているとされる人物だ。


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