266話 VSエディ・スミス 3
「あの、すみませんでした、カミーユさん。取り乱しちゃって……」
「別にいいわよ。非常にウザかったけどね。ま、あんたも大変な目に遭ったんだし」
カミーユは相変わらずぶっきら棒な言い回しだったけれど、私のことを気遣ってか胸で泣くことを許してくれたのである。これにはちゃんとお礼をしないと駄目かな。彼女はプライドが高くて性格も悪いけど、こういう優しい面もちゃんと持っている。ユリウス殿下なんかとは人間性が天と地でしょうね。
「は~い、抵抗したらアバラ骨折るからね? アイラをあんな目に遭わせておいて、タダで済んでいることに感謝してね?」
「ひ、ひい……! 助けて……!」
「大人しく拘束されれば危害は加えないよ? 私はエディ君よりはちょっとだけ優しいからさ」
そんなことを言いながら、誘拐犯の面子を後ろ手に縛って行くマリアベル。私の為に怒ってくれてはいるんだろうけど、その表情は決して笑ってはいなかった。
「ま、誘拐犯はこれで一網打尽といったところね。さっきのエディの暴れ振りを見て抵抗しなくなったのは良かったわ。無駄に死体を積み上げなくて済むからね」
「あはは……凄いですね……」
カミーユは誘拐犯を殺すことには抵抗は感じていないようだ。少しでも反抗の意志を見せれば容赦なく首をへし折っていたのかもしれない。まあ、こういう極限の状況では仕方ないのだろうけど。流石は普段、冒険者として活躍しているだけあるわね。
「どうする、アイラ? あんたの服をひん剥いて、処女を奪おうとした連中だけど……殺しておく?」
「い、いえ! そんなことは、しない方がいいと思います……!」
エリクサーで怪我は治っているとはいえ、エディ君に滅茶苦茶にされたわけだし。処女を奪われてたならともかく、未遂の段階ではこれ以上、痛めつけたいという気分ではなかった。というか、なんでカミーユは私のことを処女だと決めつけているんだろうか?
「カミーユさん、なんで私が初めてだって分かるんですか?」
「は? そんなもん顔を見ていれば分かるわよ。どうせ、王子様にもされてないんでしょ?」
「……合ってますけど」
カミーユに私の心の中を丸裸にされたようで、恥ずかしくなってしまった。正しいことだから否定もできないんだけど……。初めてを乗り越えた人ってやっぱり雰囲気とかが変わるものなのかな? 私には想像できないことだけれど。
「それより、シグルドさんとエディ君は大丈夫なんですか?」
「あの二人はさっき出て行ったからね。普通に考えればシグルドの勝利で間違いないと思うけど……」
「けど、なんでしょうか?」
私はなんだか、カミーユの言葉に嫌な予感を覚えてしまっていた。
「あのエディってガキの底力次第では、シグルドだって危険かもしれないわ。底の知れない才能を感じてしまったしね」
「エディ君が……」
シグルドさんに認められるくらいだから、相当な才能はあると思っていたけど。まさか、シグルドさんでも敵わないくらいの才能を秘めているんだろうか? カミーユはその危険性を考慮して発言しているようだった。どのみち、私には何も出来ないけれど……エディ君のことはシグルドさんに任せるしかないわね。




