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261話 アイラ救出作戦 2



 どうなってる……話が違うぞ? 俺とアイラ・ステイトは今は使われていない廃村の一区画に連れて来られていた。彼女は奥の方で捕まっているようで、俺からは姿が見えない。俺は当然拘束はされていないのだが、内部の様子がおかしなことになっていた。


「外に誰かいるようだぞ……見張りからそんな連絡が来た」


「お、おい……オリバどういうことだ?」


 まさか、俺達の潜伏場所がバレたのか? 冷静に考えたら向こうは超一流の冒険者集団を抱えているんだった。俺達の後をつけることなど朝飯前だったということだろうか?


「相手にバレた可能性があるのか?」


「わからねぇよ、俺だって……くそっ、既に2000万スレイブを支払うようにとは神聖国側に出しているってのに……!」


 焦っているオリバだったが、焦りたいのはむしろ俺の方だ。俺の役目は既に完了しているはず……すぐにでも200万スレイブを貰いたいところだったが、身代金の回収はこの後になるし、その前に潜伏先を見つけられたのでは意味がない。最悪、計画が瓦解することだって考えられるだろう。


「俺達は一般人を装えば問題ないんじゃないのか?」


「あ、ああ、そうだな。それは分かってる。俺達でなんとか処理するから、お前はここで待ってろよ。アイラ・ステイトとは接触するなよ」


「わかった……」


 アイラ・ステイトとは出来るだけ関与しない方がいいだろう。化けの皮が剥がされては、溜まったものじゃないからな。彼女との接触はこれまでだ。あとは解放された時にでも、被害者面をして話し掛ければいいだろう。俺は入り口の方へ歩いて行くオリバに目を向けた。なんとか収めて欲しいが……大丈夫なのだろうか?


 今は彼を信じる以外にないのだが……頼むから俺まで捕まるような事態にはしてくれるなよ……俺は被害者でしかないのだからな。



----------------------


(オリバ視点)


「状況は?」


「ああ、オリバか。既にこちらに近付いて来ている」


「何人なんだ?」


「確認できるのは1人だな、遠目からだからはっきりはしないが、少年みたいだぞ」


「少年?」


 この廃村に住んでいた者か? いやそれはないか……そもそも、少年が1人で来るというのも考えられないからな。となると……。


「とりあえず会ってみるか。怪しい行動は控えた方が良さそうだしな」


「てことは一般人の振りでもするのか?」


「それしかないだろう。適当に話を合わせたら問題ねぇよ」


 ま、いざとなったら拘束すればいいだけだからな。しかしまあ、勘付かれたわけじゃなさそうなところは助かったな。かなり時間を掛けた誘拐……こんなところで潰されてたまるものか。俺の取り分は300~400万ズレイブにもなるんだ。将来がかなり安泰になる金額だぜ、絶対に手に入れてやる。


 神聖国はアイラを信奉しているからな。下手な動きは出来ないはずだ。必ず身代金を用意するだろう。



「あの、すみません……」


「えっ? 俺達のこと?」


 そうこうしている間に、その少年と思われる人物が話し掛けて来た。確かに少年だ……10代なのは間違いないだろう。


「ええと、この村の住民だった方ですか?」


「え? ええ……まあ、そんなところです」


 突然の少年からの質問に俺は慌てて答えてしまった。咄嗟に出た言葉だが、悪くはない返答だったと思う。


「まあ、ここは廃村になってますが忘れられなくてね。偶にみんなで集まるんですよ」


「なるほど……そういうことだったんですね」


 少年は何か納得した風に見えた。適当に集まった元村人という感じなら怪しまれることもないだろう。


「そういう君は誰なんだい?」


「ああ、申し遅れました。僕は冒険者をしている者です。名前はエディ・スミスって言います」


「エディ……か。なるほど、冒険者ね」


 聞いたことのない名前だな。年齢からして新米の冒険者といったところか。


「実はこの付近に魔物が出現しているようでして、注意喚起をしている途中なんです」


「注意喚起、なるほどそういうことだったのか」


 だから俺達に話しかけて来たということか。まあ、これなら適当に話を合わせやすいな。


「魔物か……分かった気を付けるよ。俺達も早々に解散するとしよう」


「お願いしますね、かなり狂暴な魔獣が生息していますので。すぐに立ち去った方が良いと思います」


「あ、ああ……分かった」


 かなり狂暴な魔獣だと? それはマズいな……なるべく早く、拠点を移した方が良いかもしれない。裏口から移動する準備を整えるか。


 と、そんな時だった。裏口の方からドカンという大きな音が鳴り響いたのは……。


「な、なんだ今の音は!? 奥からか……!」


 アイラ・ステイトが鳴らしたのか? いや、そんなことはあり得ない。じゃあ、一体……。


「今の音……魔物が来ているのかもしれない! すみません、中に入らせていただきます!」


「えっ!? お、おい……!」


 制止するまでもなかった。少年はとてつもない速度で俺達を振り切って中へと入って行ったのだから。完全に俺達は置いて行かれた形だ。一体どうなっていやがる……とにかく、あの少年を捕らえなくては!


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