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258話 エディの怒り


(エディ・スミス視点)


「アイラさんが……攫われた!?」


 その報告がシグルドさんからあった時、僕は日課の修行をしている最中だった。どうやら、2号店近くの空き地で攫われたらしいけど。


「まあ、お前には事実を言っておいた方が良いだろうからな。無用な混乱を避けるために、他にはマラーク神官長くらいにしか言ってないがな」


「……」


 僕の中では混乱していた……あの、アイラさんが攫われた? この国では讃える人の方がはるかに多いはずなのに……いや、そんなことは後回しで良いか。


「シグルドさん達が護衛をしていて、なんで彼女が攫われるんですか?」


 僕は彼に語気を強めてしまった。師匠という立ち位置で尊敬できる相手だけど、今回の件は別問題だ。いや、尊敬しているだけに余計に感情が高ぶってしまったのだと思う。


「それに関しては済まなかった。誘拐した連中に上手く、俺やアルファが留守になる時間帯を調べられていたようだ」


「でも、基本的にはどちらかはアイラさんに付いていたんでしょう?」


「それはそうだな。俺は素材集めに行ってたからな。その間はアルファがアイラの傍に居たのだが……そのアルファはマラーク神官長に呼び出されてしまってな。少しの間、アイラは無防備な状態になったんだ」


「マラーク神官長に? それって……」


 シグルドさんから話しを聞いていて、僕の怒りはマラーク神官長に向かいそうだった。まさか、あの神官長がアイラさんの誘拐に関わっている?


「念のために言っておくが、マラーク神官長は関係ないと思うぞ。アイラの誘拐を知った時の様子は相当に焦っていたし、何よりも誘拐に加担する理由がない」


「な、なるほど……それは確かにそうですね」


 マラーク神官長は敬虔なクレスケンス信奉者だ。アイラさんに手を出すとは考えにくいし、お金に困っていることはもっとないはず。アイラさんが誘拐された理由は多額の身代金が目的なはずだろうからね。


「シグルドさん、アイラさんを助けに行くんですよね?」


「当然だ。護衛としての任務もあるしな。お前も来るか?」


「行かせていただきます」


 アイラさんを誘拐した連中……相手がどんな組織であれ、決して許すことは出来ない。どんなことをしてもアイラさんを連れ戻す。それ以外に考えはなかった。


「僕はアイラさんを誘拐した連中を決して許しません。絶対に」


「その気概は立派だが、無用な殺しは容認できるものではないぞ?」


「……」


 構うものか相手は社会からはみ出した者……死んでしまっても文句は言えないはずだ。必要があれば容赦なく僕は相手を殺すだろう。シグルドさんには悪いけどこればかりは変えられない。今の僕はそれ程に怒っていたのだから……。


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