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250話 気まずい二人 2


「でも本当に不思議ですね、アイラさんのお店は」


「不思議? それってどういうこと?」


 エディ君はお店の品揃えを見ながら不思議なことを言っていた。思わず質問してしまう。


「だってここまでのアイテムを作るにはどうしたってそれなりの原価が掛かるはずです。でも、アイラさんのお店はまるで、原価がないかのように儲かっている……これには驚きしかありません」


 無邪気と言えばいいのかしら? エディ君は屈託のない笑顔で私を見ていた。確かに最初の方は原価は掛かっていなかったわね。クリフト様が私が宮殿から追い出された償いとして無料で素材を運んでくれていたから。


 でも、それから冒険者の皆さんに素材調達をお願いしたり、それ以外のルートもあったりでなんだかんだと原価は掛かっている。利益率で言えばかなり高いことに変わりはないけれど。



「原価については色々と掛かっているわ。決して安い金額ではないわよ」


「あ、そうなんですか。確かにシグルドさんやアルファさんを雇う金額も原価と言えそうですもんね」


「そういうことね」


 従業員の人達やシグルドさん達を護衛として雇っている額も決して安くはない。今の売り上げだから支払えているわけで。さらに今は2号店を中心に動いているから、ここで作った薬を1号店に輸送してもらう費用なども掛かったりしている。その辺りの細かい内容はライハットさんやアウゴさんにお願いしているのだ。私だけではとても間に合わないからね。


 本当にいろんな人達に支えられてエンゲージは存続しているのだと思う。


「あはは……やっぱりアイラさんは凄いです。僕なんかではとても釣り合わないや」


「エディ君は錬金術士じゃないんだし、とても比べられるものじゃないと思うけど」


「一般的にはそうかもしれませんが、僕の内面ではやはり差が出ているんです」


 そういうものなのだろうか。エディ君は結構、潔癖症なところがあるのかもしれない。潔癖症とは少し違うかな? 何にしてもランクとかを気にしてしまうようだ。


「僕は今の課題をクリアしなければ、アイラさんとはとても向き合えないと自覚しました」


「ええっと、課題って確か……カイザーホーンの単独討伐だっけ?」


「ええ、その通りです」


 エディ君は元気に答えてくれる。カイザーホーンか……実際に見たことはないけれど、例のグリフォン並かそれ以上の魔物だってシグルドさんが言ってだっけ。単独で倒せるのは本当にトップクラスの人だけだとか。そう考えるとシグルドさんは随分と重い課題を出したものだと思う。


「エディ君がやる気になっているのはいいんだけど、シグルドさんもかなり重たい課題を出したのね」


「いえ、僕の実力的にはそうかもしれませんが、実のところそうでもないんです」


「えっ、どういうこと?」


「前にシグルドさんが言ってました。アイラさんの実力を冒険者で例えた場合、カイザーホーンなんて余裕で倒せるレベルなんだと」


「はっ?」


 私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。


「それはとてもよく分かる例えでした。だから僕はカイザーホーンを倒さないとアイラさんに、もう一度告白できる立場にはならないんです!」


 私はなんて返せば良いのか分からなかった。最初の気まずい雰囲気はいつの間にか消えていたけれど。錬金術士と冒険者のランクを同列に考えることなんて不可能だと思うけど、そうでもないのだろうか?


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