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244話 エディのお願い 1


(シグルド・バーゼル視点)


「あの……何か御用なんでしょうか?」


「えへへ。まあまあ、エディ君。さっきのアイラとの話を聞かせてよ」


 憔悴しているだろうエディを連れて、マリアベルは半ば強引にギルド内のソファに連れて行ったのだ。最近はコイツも素材集めをしているからか、話し合いの場にギルドを指定したのは流石だな。ここなら他愛もない話なら聞き流されるのがオチだ。


「アイラのことは残念だったね。でも、そんなに落ち込むことはないと思うよ!」


 マリアベルはフラれたばかりのエディにそう言っていた。悪気はないのだろうが、エディには酷な言葉かもしれないな。


「ありがとうございます、マリアベルさん。でも大丈夫ですよ。僕は落ち込んでなんてないですから」


「ほう」


 意外な言葉がエディから返って来たな。この線の細い外見からは想像し難いというか……なかなか気骨のある男のようだな。流石は単独で冒険者活動をしているだけあるというわけか。


「アイラさんのことは確かに残念でしたけど……落ち込んでなんていられません。早く成長してアイラさんを振り向かせられる人間にならないといけないわけですから」


「なるほど、そういう考えに至ったんだね! すごいな~~~!」


「いえ、そんなことは……」


 照れているのか、エディは明後日の方向を見ていた。しかし、すぐに俺の方に視線を合わせる。


「それから、シグルドさん。少しお話よろしいでしょうか?」


「なんだいきなり?」


 エディは真剣な目だ。何を話す気なのか知らんが聞いてやるとするか。


「僕は冒険者を始めて、ずっと単独で冒険してきました」


「ああ、それは聞いている。なかなかに大変なこともあっただろう? 今のお前の実力ではな」


「そうですね……命の危険に遭うこともありましたし。単独冒険は非常に危険だと認識させられています」


 エディの言葉は的を射ている。単独のダンジョン攻略は自らの命を危険に晒す行為に他ならない。金が全て自分に入ってくるという利点はあるが、それを加味しても意味のないものだと言われている。


「僕は単独の冒険をしながら、その道で何年も大成功を収めているシグルドさんのことは尊敬していました。そこでお願いがあるんです」


「願いだと? どうしたんだ?」


 話の先が見えないな。この俺に教えを請いたいということか?


「僕もお二人のパーティに加えて貰えないでしょうか? 修行をさせてもらいたいんです」


「えっ、私達のパーティ?」


「ん……?」


 エディの次に出た言葉は俺の予想からは外れていた。修行をしたいという願望があることは分かっていたが……どうやらこの男は、俺とマリアベルがパーティを組んでいると勘違いしているようだ。


 そのパーティに入りたいと願うとは……なんとも滑稽なことだな。


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