238話 それぞれの想い 2
「これはアイラじゃないか。意外な時に現れたな」
「あはは、お久しぶりです。カエサルさん」
私はクリフト様と一緒に、カエサルさんの診療所を訪れていた。もう今日の診察は終わっているようだったので、患者さんはいない。忙しくないであろう時間に狙って来たのだけれど。
「ほほう、アイラだけではなくクリフト王子殿下も一緒ですか。これはまた珍しい客人だ」
「忙しいところ、訪ねてしまって申し訳ない。アイラがカエサル殿のところへ向かうと言っていたので、流れ的に付いて来てしまった」
カエサルさんは急に来た私達に対して特に迷惑がっている様子はなかった。私達に笑顔を振りまいてくれている。
「いや、全く迷惑ではないので安心していただいて構わないですよ。後ろにはキース姉弟もいるようですしね」
「いや~、ウチらは単なる野次馬ですわ」
「まあ、そんなところだな」
「野次馬……? どういう意味だ?」
カエサルさんは意味が分からないといった表情をしていた。まあ、それもそうよね。それにしても……カエサルさんの雰囲気は最初の頃に比べたらかなり温和になったような気がする。最初の頃はシグルドさんを貶めるような発言もしていたし。付き合いが長くなってきたから、彼の根っこの部分が分かって来たのかな?
「アイラ、俺に話があって来たのではないのか?」
「ええと……それはそうなんですけど」
よく考えたら、告白されたことを話すのってものすごく恥ずかしいわね……どうしてか流れでそういう方向に行っているけど。私はもごもごしてしまっていた。普通に考えれば、カエサルさんにいきなり報告に行くなんておかしいからだ。どれだけ自信過剰なんだよってなってしまうし。
「どうかしたのか、アイラ?」
「あ、ええと……その……」
「実はな、アイラはとエディっていう男子に告白されたんやで」
私が上手く話せずにいると、エミリーが急に核心に迫る発言をした。私は思わず驚いてしまう。いや、なんで私じゃなくあなたが言うのよ……。
「な、なんだと……アイラが告白されただと?」
「そやで。15歳の年頃の男の子にや。結構二枚目らしいで」
エミリーはとてつもなく余計な情報を付け加えているような気がする。エディ君が二枚目な15歳なのは間違いないんだけど……。それにしても、カエサルさんの様子がおかしいような。
「なるほど……そういうことか。15歳の男子からの告白……確かにアイラは年頃の少女だからな。告白されることもあるだろう……」
「カエサルさん……?」
とても動揺しているカエサルさんに私は驚いてしまっていた。えっ、そんなに動揺することでもないような気がするんだけど……。私が年頃の男の子に告白されたに過ぎないんだし。
カエサルさんの様子は心配になるレベルになっていた。
「なるほど……アイラもそういう年齢というわけか」
平静を装っているけれど、明らかに動揺しているような……私にはそう思えて仕方なかった。




