236話 クリフト王子殿下の気持ち
「な、なんと……アイラ、告白されたのか?」
「は、はい。そういうことになります。わざわざ、クリフト様にご報告することではないと思ったのですが、こうしてリンクスタッドに戻って来る用事もありましたので」
「いや、決して報告しないような事柄ではないと思うぞ。非常に重要なことだ。報告してくれて礼を言いたいくらいだ」
「そ、そうですか……? それなら良かったのですが」
私はリンクスタッドに戻ってクリフト様と会っていた。エンゲージ1号店の奥の調合室に私達はいる。元々は1号店の経営がどうなっているのかも含めて戻って来たわけだけれど。そのついでに、クリフト様にエディ君から告白された事実を報告しているのだ。
エンゲージ1号店の経営は順調だった。本来なら私が居ない状況なので経営はできないはずだけど、今は、私が作ったアイテムをロンバルディアから送るという手筈を取っているのだ。
これもモーレス大公殿下とマラークさんの協力のおかげだったりする。
「エンゲージ2号店の経営は順調そうだな。それからもちろん、1号店の経営も……」
「そうですね。これもクリフト様達のおかげです」
「いや、私は直接的には何もしていないよ。君への素材供給なども今は料金を貰っているし。ビジネスになっている時点でお礼を言われることじゃないさ」
「クリフト様……」
クリフト様には本当にお世話になっている気がした。私が宮殿から追放されて数日で見つけてくれたあの時から。最初の方は追放させてしまったことによる罪滅ぼしと退職金代わりもあってか、無料で素材を提供してくれていたし。ライハットさんを提供してくれたのもそういう局面からだし。
「まあ、その件はともかくとして……アイラもいよいよ告白される時期になったんだな。嬉しいような悲しいような」
「あはは、まだ答えを出せていない中途半端な時期ですけどね」
「そうか、それなら安心だな」
「安心……?」
クリフト様は真剣な表情になっていた。今は調合室に二人きり……なんだか、ドキドキするシチュエーションだけど。クリフト様は私の肩に手を置いている。
「アイラ……本来なら君への恋路は応援する側に回るべきなんだと思う。だが、済まないがそれは出来そうにない」
「クリフト様、それって……」
「以前、シグルド殿とグリフォン討伐に出掛けた時、私は私の出来ることをすれば良いと勉強させられたのだ。だから今は……私は自分の気持ちに正直になろうと思っている」
そう言いながら、クリフト様は私に顔を近づけて来た。ええと……まさか……嘘でしょ? そのまま私の顔に当たるか当たらないかとなった時──。
「なにやってんの? 二人で」
「おいおい、姉貴。良いところだったんだから、邪魔してやるなよ」
「えっ……エミリーとローランド?」
「これは……意外な客人のお出ましか」
なぜか1号店の調合室内に彼ら二人の姿があった。おそらく、アミーナさんが入室を許可したんだと思うけど。クリフト様の顔はいつの間にか離れていた……ベストタイミングで邪魔しに来たわね。良かったのか悪かったのかは、分からないけれど。
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