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227話 ドラゴン 3


「ちょっと信じられないな……はははっ」


「私もですクリフト様……」


 私とクリフト様はダークドラゴンとじゃれ合っているマリアベルを見ていた。彼女はダークドラゴンの大きな顔で頬ずりをされてるのだ。なんだかそのまま食べられてしまいそうで怖いけど。


「あはははは、くすぐったいよ~~~!」


「ゴルルル」


 ダークドラゴンにあんなに近づくなんて、一見すると危険な行為にしか見えないけど、マリアベルは心底楽しんでいるようだった。


「彼女はドラゴンに近づいても問題ないようだが、他の者は念のため、一定の距離を取った方がいいだろう」


「そうですよね、クリフト様……」


 念には念を置いておくのが重要だと思う。ダークドラゴンの機嫌がいつ変わるかも分からないんだから。


「マリアベルは大丈夫なんですかね……」


「見たところマリアベルも魔力障壁を使えるようだ。万が一、ダークドラゴンの攻撃を受けたとしても、いきなりやられる心配はない」


「へえ、そうなんですね」


 ダークドラゴンと同じような全身バリアみたいなモノを展開できるということね。私が持っている防御石のバリアみたいな感じかしら? それならまあ、安心か。素で使えるって凄いと思うけど。


 とりあえず、ダークドラゴンが王都ヴァレイに来たことに関しては驚きだけれど、街を破壊するとかいった心配はないようね。とりあえずは安心できるみたいで良かった。


「でも、ダークドラゴンがこの場所に現れた理由は不明ですよね? 私達を積極的に襲うことはなさそうですけど」


「竜族は基本的に非常に好戦的な種族のはずだ。奴らが人間を殺すことは、俺達が家畜を殺しているのと変わらない。つまり息を吐く程度の造作で殺し、何の罪も感じないということだ。今までの歴史でドラゴンと人間が交流したなどという事実はなかったはずだが……」


 流石のシグルドさんも目の前の光景は信じられないようだ。普通に交流しているマリアベルとダークドラゴンという構図……ある意味では非常にシュールだったから。


「グルルルルル……」


「ねえねえ、君はこれからどうするの? ここにいたら他の人の迷惑になっちゃうよ?」


「グルウ……」


 ダークドラゴンは何を言っているのか分からないけれど、マリアベルは言葉が通じないなりにコミュニケーションを取っているようだった。彼女の言う通りこの場所にダークドラゴンがいてもらっては非常に困る。時間が経てば経つほど、ロンバルディア神聖国は攻勢に出ないといけなくなるだろうし。


「君の故郷は北の大地だよね? そこに戻ることは出来ないのかな~~? ねねっ!」


「グォ~~~ン……!」


「えっ……?」


 マリアベルの頼みにダークドラゴンは頷いた気がした。その直後に大きく羽を広げる。強烈な風が私達の方向にも吹いて来るけれど飛び立とうとしているのかもしれない。


 えっ、帰ってくれるの……?


「どうやら帰って行くようだな」


「ここに来た理由がイマイチよく分からないが……帰るのであれば好都合だ」


 シグルドさんはそう言うと、ダークドラゴンに近づいて行った。


「マリアベル!」


「なに~~? シグルドさん?」


「そのドラゴンに北の大地への素材調達ができないか聞いてみてくれるか?」


「ええっ!? シグルドさん、それって……!」


 私はシグルドさんの提案に驚いてしまった。北の大地って言えば、影見草などの稀少な素材やアイテムを入手できる場所として有名だけれど、ドラゴンが出現するために最高峰に危険な場所としても有名だ。


 以前にシグルドさん本人から聞いたことがあるくらいしか詳細は知らないけど。


「ええと……北の大地とここの往復を頼めってこと?」


「そういうことだ。もしかしたら、稀少素材の新たな入手ルートが確保できるかもしれんだろう?」


「なるほどね~~! お願いしてみるね!」


 マリアベルはシグルドさんの意図が分かったのか、ダークドラゴンと再びコミュニケーションを開始していた。


「ええと、シグルドさん……その、新たな素材の入手ルートっていうのは、ダークドラゴンを介した往復での素材調達ルートってことですよね?」


「そういうことだ。ダークドラゴンを使役できるとすれば、かなり安全に北の大地との往復が可能になるかもしれん。ダークドラゴンは竜族の中でも上位格なはずだからな」


「ああ、そういうことですか……でも、シグルドさんはドラゴンを倒したことがあるんですよね?」


「そうだな、以前に倒したことはある。しかし、俺が倒したのはダークドラゴンのような上位格のドラゴンではない。おそらくは下位クラスに該当するドラゴンだろう。メビウスダンジョン以外に稀少素材や稀少アイテムのルート確保が出来ることは俺にとっても重要なことだ」


 それは私にとっても非常に重要なことだった。おそらくシグルドさんはエリクサーや蘇生薬、万能薬を作る為の素材も調達して来てくれるだろう。それらの素材がより簡単に手に入るようになれば、2号店の売り上げに影響してくることは間違いないわね。


 さらにネプトさんに教わった複製技術も使えば……どれだけの黒字になるのかしら?


 凄い……モーレス大公経由のルートと、ダークドラゴンを経由したルート。一度に二つもの大きな素材調達手段が確保されることになるなんて。


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