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222話 上級回復薬だけを作る 2


(クリフト・ホーミング視点)


 恐ろしいペースで調合が進んでいる……私はアイラの手捌きに驚きを隠せていなかった。それはアウゴ殿、モーレス大公殿下も同じだろう。先ほどまでモーレス大公殿下は軽口を叩いていたが、自分の信頼するアウゴ殿の余裕がなくなったのを感じ取ったのか、先ほどから無言になっていた。


 アイラの錬金術での恐ろしさを垣間見た瞬間なのかもしれない。まあ、彼女が本当に凄いところは上級回復薬を作るスピードというわけではないが。本来の凄さとは違うところでも実力を発揮できるアイラは驚異的だと言えた。


「ふむ、現在はアイラが14個でアウゴ殿が8個といったペースか。既に2倍近い差が出ておるの」


「ええ、そのようですね、オディーリア様」


 モーレス大公殿下が連れて来たアウゴ・サリー殿の実力はかなりのもののはずだ。上級回復薬を10分少々で8個精製しているのは相当だと言えるだろう。しかも見たところ、1つも失敗していないようだ。


 この段階を見るだけでも、ロンバルディア神聖国でもトップクラスの実力者というのが分かる成果だと言える。普通の薬士は1種類のアイテム……例えば、初級回復薬を作れるだけでも働けるレベルとされているからな。


 通常の薬屋はそういった薬士を複数雇って営業しているのだし。それを考えるとアウゴ殿はとても優秀だと言える。上級回復薬をこの速度で量産できるだけでも脅威だが、おそらくはそれ以下のアイテムも複数作れるだろうからな。


 それだけで、普通の薬屋もちろん、国家としても喉から手が出るほどに欲しい人材だろう。まあ、実際にアウゴ殿は生活には困っていないのだろうが。しかし、そんな彼とはいえアイラと比較すると……。


「くっ、まさかこんなことが……!」


「アウゴ、どうしたのだ!? もっとペースを上げないと負けてしまうぞ!」


「分かっています、大公殿下……!」


 この光景はアイラとシスマの最初の錬金勝負を思い出すな。明らかに焦っているアウゴ殿と冷静沈着なアイラというのが、その対比になっているのだろう。アウゴ殿はこのままでは負けてしまうと感じているのかペースを上げているが、思うように上級回復薬を作れなくなっているようだ。現在作れた2本は失敗作だろう。この辺りも当時のシスマと被る要素があるな。


 アウゴ殿は実力的にはどの程度なのだろうか? シスマとそれなりの勝負が出来るかもしれないが、今の状況だけを見ると、彼女よりもやや劣るといったところだろうか?


「アウゴさん、もう少し落ち着いて調合した方がいいかもしれませんよ?」


「くっ……! 言ってくれますね、アイラ殿……!」


 アウゴ殿はアイラの何気ない言葉に反応しているようだった。言葉でこそ冷静だが、その焦りには拍車が掛かっているようだ。その後も上級回復薬の個数は増やしていくが、アイラとは違い、アウゴ殿は失敗も多くなっていった。


「まあ、予想通りではあるが……アイラの圧勝だろうな」


「そういう言い方は良くないぞ、ジグルド。相手のアウゴ殿も錬金術に関して相当な手練れだ」


「そんなことは言われなくても分かっている。あくまでも、アイラと比較しての話だ」


 シグルド殿とアルファ殿の二人もアイラの勝ちを確信しているようだった。実際に彼女は明らかに冷静に調合をしている。その落ち着いた流麗な動きは、現在のアウゴ殿とは比較にならない。


「へえ、アイラってこんなに凄かったんだ。何もかも想像以上……えへへ、楽しいな~~!」


 マリアベルも楽しそうにアイラの調合を見ているようだった。なんだか不思議な感じがする女性ではあるが。まだ16歳ということだからな。アイラの実力を目の当たりにしても怯んでいる様子がないのが面白い。それも世間知らずな16歳ならでは、ということだろうか? 


 そんなこんなで錬金勝負の30分の制限時間はあっという間に過ぎていった……。

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