表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

221/286

221話 上級回復薬だけを作る 1


 クリフト様の合図で錬金勝負が始まることになったけど……。


 アウゴさんはモーレス大公が連れて来たとは思えないくらいの丁寧さだった。モーレス大公は背後から相変わらずのヤジを飛ばしていたけれど……。


 街を歩いている人々の足も徐々に止まっていた。ギャラリーとしてどんどん露店に集まって来ている。


「アイラ様と……あちらにいらっしゃるのは、モーレス大公殿下じゃないか! それに、アウゴ・サリーさんもいらっしゃるぞ」


「本当だわ! アウゴ様のお顔を拝見できるなんて! 今日は良い日になりそう」


 周囲のギャラリーの人達は思い思いの話をしていた。アウゴさんは結構、人気があるようね。まあ、ロンバルディア神聖国の中でも有名な錬金術士みたいだから当然か。


 私とアウゴさんはそれぞれスタンバイの位置に付いた。周囲のギャラリーの人々はどんどん増えていく。これはまた注目を浴びてしまうわね……エンゲージ2号店の売り上げはさらに上がりそうだし、そういう意味では嬉しいんだけれど。


 やっぱり調合風景を見られるというのはかなり緊張してしまうわね……。1号店で調合している時は桜庭亭の奥でやっているから、誰かに見られるなんてことはないんだし。


「用意は良いですか? アイラ・ステイト殿」


「大丈夫ですよ、いつでもOKです」


「流石の余裕ですね……それでは始めましょうか」


「分かりました、始めましょう」


 クリフト様やマリアベル、オディーリア様達が見守る中、私とアウゴさんはゆっくりと上級回復薬の調合にシフトする。私の店にも材料は十分にあったけれど、アウゴさんとモーレス大公が持ってきてくれた材料も含めれば必要十分な量を作れると思う。


 制限時間は30分……あまり長くても疲れてしまうからね。


 さてさて、上級回復薬の数を決めるものだけれど……まずは相手の動向を窺おうかしら? 私は横目でアウゴさんの調合手順を見ていた。


「……」


 早いと思う……流石の手さばきね。一つ一つの所作も淀みがないし、ロンバルディア神聖国最高峰の錬金術士というのは伊達ではないということね。私が見ている間にも3つのアイテムを完成させていた。


「おや、まだ1つも作っていないようですが……大丈夫なのですか? 時間制限ありの数の勝負だというのに」


 アウゴさんは私が横目で見ていたことに気付いているようだった。私に話しかける余裕があるようだ。でも私だって手を休みながら彼を見ていたわけではない。窯の中では既に上級回復薬は精製されつつある。自慢ではないけれど、上級回復薬程度なら私は余所見した状態で流れ作業で作れていた。


「ご心配ありがとうございます。でも、ちゃんと作っていますのでご安心を」


「そうなのですか? まだ1本も完成していないように見えますが……」


「1つ1つを瓶に入れてないだけですよ、ほら」


「えっ……?」


 私はアウゴさんに笑顔を見せると、窯の中にある液体を瓶に詰めていった。その数は6本になっている。アウゴさんの表情が明らかに変化した様子だった。


「これはこれは……想像以上に楽しめそうだ」


「ええ、そうですね」


 制限時間は30分より多くの上級回復薬を作った者の勝利だ。





書籍2巻が2021年4月8日発売予定になります。

活動報告に詳細を載せていますので、ご覧いただけますと幸いでございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ