220話 手加減勝負? 2
上級回復薬だけに絞った錬金勝負……私の中でアウゴさんはやり手に思えて仕方なかった。彼はおそらく、エリクサーや蘇生薬が売られていることに気付いているはずだ。最初の段階で私達の実力を看破していると思われる。
大公殿下は相変わらず気付いていないみたいだけれど……アウゴさんは気付いている為か、自分のテリトリーのお題を出したと考えられる。
「ふふ、まともな勝負では到底無理そうですからね」
「……」
この言葉が私の予想を確信させる材料になっていた。マズイ……オディーリア様は相手のテリトリーで戦えとおっしゃっていたけれど、これは予想よりも厳しい戦いになるかもしれない。
アウゴさんはもしかすると、上級回復薬の精製に特化しているのかもしれないからね。
「ほう……なかなか面白い勝負になりそうだな」
「確かにそうだな。上級回復薬の精製勝負か。どれだけ早く作れるのかが勝敗を決しそうだ」
シグルドさんとアルファさんは少し離れた場所から観戦しているようだった。私のことを応援してくれているとは思うけど、自分達の関わる内容ではないと分かっているのかな? その辺りの判断が素晴らしいと思ってしまう。
「アイラよ、わらわも応援をしておるぞ? 緊張せずにいつも通りの調合をすればよい」
「分かっていますオディーリア様。負ける気なんて毛頭ないですから」
「その心掛けだよ、アイラ~~~!!」
オディーリア様と元気なマリアベルから激励を貰った。ここまで期待されて負けるわけにはいかないわね。キース姉弟との勝負やシスマとの勝負でも全勝をしているんだから……負ける気なんて勿論ないわけで。
多少の緊張はしているけれど、それ以上に楽しみの感情が上回っていた。
「わはははは、アウゴよ! アイラ・ステイトは随分と余裕のようだぞ! 舐められたものだな!」
「そのようですね……少しでもその表情を歪ませたいと思います」
「うむ! しっかりと頼むぞ!」
モーレス大公と比べてアウゴさんはかなり謙虚な印象が見て取れた。多分、根は悪くない人なんでしょうね。それでも自分が負けるなんて思ってないんでしょうけど。私だって負けるつもりは毛頭ないわけで。
「ギャラリーも増えて来ましたね。私が開始の合図を出してもよろしいですか?」
「ええ、よろしくお願い致します、クリフト様」
「それでは遠慮なく……錬金勝負、始め!」
クリフト様の合図に合わせるように、私とアウゴさんは同時に調合を開始した。負けたからといって何かペナルティがあるわけではないけれど……私のプライド的に負けるわけにはいかない。
ある意味で一番本気になった瞬間であった。




