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219話 手加減勝負? 1


「初めまして、アイラ・ステイト殿。お噂は拝見しております。私は錬金術士のアウゴ・サリーと申します。以後、お見知りおきを……」


「ど、どうも……アイラ・ステイトです……」


 モーレス大公の後ろに立っていた男性が私の前にやって来た。大公殿下とは違い、かなり丁寧な印象だ。


「それから、そちらにいらっしゃるのは、ホーミング王国のクリフト・ホーミング第一王子でございますね? 初めまして」


「アウゴ・サリー殿。これはご丁寧にありがとうございます。以後、お見知りおきを」


 クリフト様が数日振りに来てくださっていたのだ。私は彼との会話を楽しみにしていたのに、このタイミングでモーレス大公がやって来たので、それが流れてしまっていた。はあ、迷惑なことをする人ね……本当に某ユリウス殿下みたい。


「しかし、クリフト殿が観戦されるとは……ははは、これは見物ですな」


「ええ、私も良いタイミングでロンバルディアに来れたと思います、モーレス大公殿下。アイラの本格的な錬金勝負を見るのは久しぶりになりますので」


「わはははははっ! 私が用意したアウゴ・サリーは名実ともにロンバルディア神聖国の最高峰の錬金術士ですぞ! その華麗な錬金技術を堪能くださいませ!」


「はは、楽しみにさせていただきます」


 クリフト様は流石の大人な対応だった。私の近くに立っているマリアベルはプルプルと震えているのに……かなりお怒りの様子だ。まあ、気持ちは分からなくはないけどね。


「アイラ」


「なんですか、クリフト様」


「頑張ってくれ。私の応援なんて必要ないとは思うけどさ」


「いえ、とんでもないことですクリフト様。ありがとうございます」


 クリフト様からの応援の言葉は他の人々のそれとは一線を画すほどに嬉しいかもしれない。私の心の中が温まっていくのだ。な~んて、ちょっと乙女なことを言ってみたりする。私とクリフト様は仲は良いけれど身分が違い過ぎるしね……。


「ははっ、喜んでくれて私も嬉しいよ。私はアイラに喜んでもらえるのが至上の楽しみだからね」


 とは言っても、クリフト様は無自覚なのかこういうどう反応して良いのか分からない言葉を連発することがある。気持ちとしては嬉しいけれど、まともに彼の顔が見れなくなったりもするわけで。


「あ、あははは……ありがとうございます」


「さて、錬金勝負の件でございますがどういう内容で始めましょうか?」


 そこで割って入って来たのはアウゴ様だ。錬金勝負の内容……つまりはお題ね。どういうのが良いのかしら。確かオディーリア様は相手に選ばせた方が良いと言っていたけれど。


「そっちがお題を決めてよ。私達は受けるだけだからね!」


「ま、マリアベル……?」


「そうでしょ、アイラ?」


「あ、うん……まあ、そういうことだけれど」


 マリアベルはやっぱり相当に怒っているようだ。アウゴさんに対してではなく、モーレス大公に対してだろうけどね。


「ほほう、それは殊勝な心掛けじゃないか。随分と舐められたものだな。どうするのだ、アウゴよ」


「左様でございますね。それではお言葉に甘えて、私が決めさせていただきましょうか」


 あれ? アウゴさんは素直に応じるようだった。私達からすれば手加減? 勝負になるかもしれないけれど、敢えてそれを受け入れるってところなのかしら?


「上級回復薬のみの数で決めましょうか。ちょうどあなた方も売っていらっしゃると聞いておりますし、その方が良いでしょう」


「上級回復薬だけの数……わかりました」


「決まりですね」


 アウゴさんはかなりの自信を見せていた。上級回復薬のみの数で決めるということは、それ以上の超上級回復薬やエリクサーなどを作っても意味がないということだ。もちろん、それ以下のアイテムでも意味を成さない。ここまでアイテムを限定されたお題は初めてかもしれないわね。


 想像よりも真剣に取り組む必要がありそうだ。私は気を引き締め直した。


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