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217話 雑談 1


「というわけで、私はシグルドさんに勝ったんだよ~~! 忘れないでよね!」


 腕相撲大会が行われた夜、私達は宿屋の同じ部屋に集まっていた。マリアベルがやけにテンションが高かったけれど……。普通におじさん呼ばわりがなくなってるし、余程、楽しい腕相撲だったのかもしれない。


「ああ、そうだな」


「えへへへ~~~楽しかったな! また、やろうよ! スポーツでもなんでも良いからさ!」


 なんだかマリアベルのテンションがやけに高いわね。


「それは構わないが……良かったら、メビウスダンジョンにでも入ってみるか?」


「えっ? メビウスダンジョンてこの前瘴気が出たとか言われてるところだよね? うんうん、入ってみたい!」


「お、おい……流石にそれは……」


「大丈夫だよ、アルファさん! 私こう見えても強いもん、魔法だって使えるもん!」


「それは凄いのぉ。わらわも魔法は使えるが、お主の使える魔法は恐ろしく強力なんじゃろうな」


「当然だよ、メテオだって降らせるんだから!」


 マリアベルはとてもやる気になっている……腕相撲以外のスポーツとかをするならともかく、本当のダンジョン攻略って……ちょっとぶっ飛んでいるような気が。楽しそうにアルファさんやオディーリア様と会話していた。ぶっ飛んでいると言えば、この宿の価格もぶっ飛んでいるけれど……ワンフロアの半分の広さだし。この階には部屋が2部屋しかない。


 一泊の価格は2万スレイブ……私の店のエリキシル剤が買える価格だ。専用のトイレや浴場は勿論、完備されているし、ルームサービスだって豪華、専用の清掃員まで用意されている始末だ。もうこの時点で凄まじいのだけれど。


 で、この部屋のお金を払っているのは誰かと言うと……。


「あの、シグルドさん……良かったんですか? この部屋……」


「ん? 何がだ? 意味が分からんぞ」


 シグルドさんは呆けたように私を見ていた。この部屋の2万スレイブを支払っているのはシグルドさんだ。今までは別々の部屋を借りていたけれど、今日から皆でこっちに移動してきたことになる。部屋が広いし、男性女性で別れて寝ることも出来るしね。クリフト様やローランド、カエサルさんが来ても、十分なくらいには広いし。


 私やオディーリア様、アルファさんは支払わなくて良いとシグルドさんがおっしゃった。払えるくらいの蓄えは十分にあるけれど……。


「私だって泊まらせて貰うんだから、少しは支払わないと駄目かなって……」


「他の支払先があると面倒なんだよ。俺はしばらくメビウスダンジョンを中心に稼いで行くからな」


「それならこの宿が拠点になるんですか?」


「そういうことだ。1カ月単位で借り上げている」


「1カ月……」


 一日2万スレイブだから、30日で60万スレイブってことになるわね……凄い額だわ。シグルドさんって一日にいくら稼いでるのかしら? 物凄く気になるわ……。一般家庭の数年分にも相当する額を宿代に充てられるってヤバいわよね。


「でもさでもさ~~、今日は本当に良かったよね! 腕相撲が盛り上がったおかげで、お客さんも増えたしさ!」


「マリアベル? ええ、そうね。今日は思いの外、アイテムが売れたと思うわ。腕相撲のおかげだと思う」


「えへへ、そうだよね~~~! 10万スレイブのエリクサーが売れたのが大きいよね!」


「ああ、そういえばそんなこともあったわね……」


 マリアベルが無茶な価格設定にしていたエリクサーが、何とそのまま売れたのだった。買って行ったのは伯爵家の人だったけれど、家宝にしたいのだと言う。


「あれには流石に驚かされたわ……伯爵家の人だからお金はあるんでしょうけど」


「でも、満足してたから良いじゃん! アイラの1万スレイブという額が低すぎるんだよ!」


「うむ、それは確かに言えるかもしれぬな……わらわとしても、エリクサーは2万スレイブでも良いと思っているからの。さらに高くても問題のない商品ではあるな」


 マリアベルだけじゃなくて、オディーリア様も同じような意見だった。前にもオディーリア様からは効力を考えたら安いくらい、という指摘を貰っていたけれど。私の価格設定は良心的過ぎたのかもしれないわね……。

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