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216話 腕相撲 4


「アイラ、合図を頼めるか?」


「わかりました、では……行きますよ、始めっ!」


 ドンッ!! っていう轟音が直後に鳴ったような気がした。実際にはそんな音は鳴っていないのだけれど、マリアベルとシグルドさんの気迫はそのくらい凄いものだった。周囲のギャラリーの人達も驚いている。


「う、うわ……!」


「ビックリした……!」


 周囲の人達はまるで自分が襲われたように後ろに引いている。まあ、その気持ちは分からなくはないけれど……闘気? のようなものが見えている気がするし。二人は今のところ、開始位置から動いていない。


「ほう……ここまで力を出しても、ビクともしないか。大したものだ」


「おじさんも結構やるね、でも、まだまだ本気じゃないよ!」


 お互いに余力を残しているようで、徐々に力を開放しているようだ。なんだかその時点で格が違うように思えてしまう……。


「大したものじゃな二人とも。既にわらわでは耐えられない力を出しているぞよ」


「あ、そうなんですね……流石はシグルドさん」


 本来ならマリアベルが凄いってことになりそうだけれど、マリアベルは1000年前のクレスケンスと同一人物だと言われているし……そう考えると現代を生きるシグルドさんが凄いことになる。1000年前の最強の偉人と張り合える時点でどこかおかしい気がするし……流石はドラゴンを単独で倒せる冒険者と言われるだけあるわ。


「えへへへ、おじさん。だらだら続くのもなんだし、一気に全力を出さない?」


「ほう、面白いじゃねぇか。お互いにどれだけの余力を残しているかの勝負をするわけだな?」


「えへへ、そういうこと~~~!」


 シグルドさんと互角の勝負をしながらも、マリアベルは無邪気な表情を崩していない。本当にこの子って強いんだ……改めて思い知らされた感じだ。やっぱりシグルドさんと張り合っているのは信じられない。今まで、何度か化け物じみた光景や噂を見せられてきたし……。


「では行くぞ……」


「良いよ~~~じゃあ、いっせ~~の~~~でっ!」


「きゃあ!」


 マリアベルの腕相撲の台座が破壊された音が鳴り響いた。バキッ! とか聞こえて台座が崩れ落ちた。マリアベルもビックリしているようだ。


「あっ……」


「……俺の勝ちか」


 二人の右手は倒されており、マリアベルが下になっていた。つまり……シグルドさんの勝利?


「あ、負けちゃった……あ~あ」


 マリアベルはあんまり悔しがっている様子はない。結構冷静ね……もっと悔しがるかと思っていたけれど。


「……」


「シグルドさん、ええと……おめでとうございます。なんかアクシデントがあったみたいですけど」


「ああ、そうだな……」


「シグルドさん?」


 あれ、なんだかシグルドさんの様子がおかしいような。自分の右手を凝視しているような。


「どうかしたんですか? シグルドさん。一応、勝ちは勝ちですよね?」


「まあ、単純な殺し合いをすれば俺に分があるだろうが……ふん、大したスペックだ」


「どういうことですか?」


「俺の右手は亀裂骨折をしている」


「えっ!?」


 シグルドさんの驚きの発言にアルファさんやオディーリア様も、度肝を抜かされているようだった。ええと……さっきの腕相撲で骨折したってこと?


「マリアベルは台座の破壊で動揺して、一瞬気が逸れたんだ。一応、勝負には勝てたが……骨折したのは俺。なかなかに面白い結果となったな」


「そ、それより……大丈夫なんですか? 右手は……」


「エリクサーですぐに治る。問題ない」


「あ、そっか……」


 こういう時ってエリクサーの回復力は便利よね……骨折も一瞬で治るんだし。マリアベルが言っていた10万スレイブが適正価格というのも案外間違っていないのかもしれないわね。


 マリアベルは離れたところで両手を広げて体操をしていた。見たところ、これといって怪我はしていないようね……ええと、どっちの勝ちになるんだろう? マリアベルとしては楽しい勝負だったから、勝敗とかはどうでも良くなったのかしらね。その可能性は十分にありそうだわ。

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