211話 準備 1
「アイラ! どんなアイテムが作れるの!?」
「ええ……? どうしたのよ、マリアベル……」
「だってムカつくおじさんと錬金勝負をするんだよ? 負けられないじゃない!?」
マリアベルはビックリするくらいにやる気のようだった。私としても意外なことだったけど……。
「一応はエリクサーとか蘇生薬、万能薬なんかは作れるわ」
「あ、やっぱりその辺りのアイテムは作れるんだね! 流石はアイラだね!」
「え、ええ……ありがとう」
マリアベルは私が作れるアイテムを聞いても驚いている様子はなかった。彼女の正体が分かって来た今となってはそんなに驚くべきことではないのかもしれないけれど。
マリアベルは私と同等若しくはそれ以上のアイテムの作成も可能と判断して問題ないと思われる。それってつまり彼女と一緒に居れば、私の限界を見られるかもしれないということでは? 自分の限界が知れないというのは楽しみでもあり恐怖でもあったので、これは良い方向に進んでいるんじゃないだろうか。
もしも彼女がクレスケンス本人なのだとしたら、それと並ぶと考えるなんて恐れ多いことではあるけどね。
「それならもう勝ちは決定だね! 二人でコテンパンにしちゃおうよ!」
モーレス大公殿下が連れて来る人物との錬金勝負となれば、かなりの話題性を持つことは間違いないだろう。私を信奉してくれている派とモーレス大公殿下側の人間が集まることは間違いないだろうし。
それはつまり、私の店の売り上げがアップにも繋がる話なわけで……。
「ふむ、まともに戦えば勝ちはほぼ確定と言って良さそうじゃな。今のところ、アイラとマリアベルに負ける要素がない」
「オディーリア様に言っていただけるなら、さらに安心します」
「しかしの……モーレス大公殿下と言う人物は、この国では相当な影響力を持っているのじゃろう?」
それは確かに……おそらくはロンバルディア神聖国の聖王様の親戚か何かだと思うし。
「おそらくはそうだと思います。マラークさんよりも地位は上なんじゃないでしょうか」
「それ程の人物と錬金勝負をするのじゃから、圧倒的に勝つのは控えた方が良いかもしれんの」
「えっ……どういうことでしょうか?」
私はオディーリア様の言っていることの意味が分からなかった。圧倒的に勝つのはマズい? それはつまり、どういうこと?
「両派閥の戦いになりそうじゃからな。相手にも花を持たせた方が良いじゃろう。具体的にはお主達がハンデを背負って戦うということじゃな」
「え~~~、そんなことしないといけないの?」
マリアベルはむくれて不満そうにしていた。私としてもハンデを背負うなんてゴメンだけれど……今後、ロンバルディア神聖国で店を続けるならよく考えた方が良いってことかしら?




