193話 ロンバルディアの貴族 1
ロンバルディア神聖国の貴族っぽい人が2号店を訪れた。なんだか嫌な予感がするけれど、邪険にするわけにもいかない。
「い、いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」
「ふん……私は客ではない。舐めた口は閉ざして貰おうか」
随分、偉そうな言い方だけれど、客じゃないなら帰って欲しい……こっちも暇じゃないんだから。
「客でないのなら、なんだと言うのかな? まさか、営業妨害というわけでもないだろうに」
「なんだお前は? ……ん?」
クリフト様を前にしても、その人は怯んだ様子を見せなかった。ただ、少し様子が変わっていたけれど。
「ああ、誰かと思えば隣国の王子殿下ではないか。こんな場所でお会いすることになるとは……そういえば、アイラ・ステイトの店を贔屓にしているという情報があったか」
「あなたは……アングラ・モーレス大公殿下ですね? アイラの店にどういう用件なのですか?」
「ん? ああ……お前も居たのか、アルファ・ルファ。最近では神殿騎士の仕事はまったくしていないと聞いているが……」
「それは……私も何かと用事がありましてね」
「その用事というのが、アイラ・ステイトの護衛というわけか? 随分と暇なことをしているじゃないか」
「……」
アングラ・モーレス大公殿下? 大公って言ったら公爵よりも上の立場なんじゃないの? 国にもよるけれど、国王陛下の親戚とか兄弟の事例が多いかな? てことはこの人は聖王様の兄弟?
「あの……大公様? よろしければ何か購入していきませんか?」
「ん? 私にアイテム購入を要求する気か? しかし見たところ、まったく購入に値するものなど、置いていないではないか。上級回復薬や上級毒消し薬など、私には必要ない」
しまった……こっちの2号店には確かに目玉アイテムの陳列はしてないんだった。アングラ・モーレス大公が興味を示さないのも仕方ないのかもしれない。というより、上級回復薬程度では驚かないのね。私が1号店をオープンし始めた時はその程度のアイテムしかなかったけれど、もっと驚かれてたのに。
「まあ、予想はしていたが……これではクレスケンス様にはまったく及ばんのだろうな。まったく、王都ヴァレイでは例の瘴気事件を解決した立役者として頻繁に名前があがっているが、過剰な評価なのだろうな!」
モーレス大公殿下の私を見下す目は尋常ではなかった。クレスケンスのことは信奉しているみたいだけれど、それが関係しているのかしら……?




