191話 2号店オープンに向けて 2
「マラークさん、お話があるのですが……少しよろしいでしょうか?」
「これはアイラ様! 如何なさいましたか?」
公爵クラスと言われているマラークさんに敬語を使われるのは、未だに慣れないわ。まあ、いいか。私は2号店オープンの件について、彼と話をする為に大聖堂にやって来ている。
「薬屋2号店オープンの件なんですが、正式に受けさせていただけませんか?」
「ほ。本当でございますか!?」
「はい。それから、しばらくはこちらに住もうと思います。それも了承いただけるのでしたら……」
「な、なんと……! こちらに住んでいただけるのでしたら、どうぞいつまでもお住みください! 住民達にとっても活気に繋がるでしょう!」
「あはは……まあ、必要以上に褒めたりするのは避けていただきたいのですが……」
「畏まりました。皆には伝えておきましょう。神官将や神官を使い、お触れを出しておきます」
お触れか……そうは言っても、最初に王都ヴァレイに来た印象から考えれば、私への崇拝が消えることはないと思う。まあ、少しでも住みやすくなれば良いかしらね。
「ふん、意外な判断だったな。2号店オープンを承諾しただけでなく、こちらに住むことも決意するとは……」
「少しの間だけですけどね。やっぱり、新店舗には私が居ないと成り立たない部分があるでしょうから……仕入れルートの確保とかして行きたいと思っています」
「賢明な判断だ、流石はアイラだな。君は薬屋の経営者に向いているかもしれないぞ」
「ありがとうございます、アルファさん」
2号店の薬屋は普通の薬屋にする予定だ。仕入れルートの確保もホーミング王国程には簡単にいかないだろうし……。
つまり2号店では高額な3大秘薬とかは販売しない方針で固めるつもりだ。それなら容易に材料も揃えられるし、誰か他の人を店長に据えることも難しくないだろうしね。
「通常の規模の薬屋になると思いますけど、それで良ければやらせていただいても宜しいでしょうか?」
「それはもちろんでございます! 大通りの場所を提供いたしますので、是非ともオープンさせてくださいませ!」
「ありがとうございます、マラークさん」
マラークさんは未だに費用を全額負担してくれそうな印象だったけれど、流石にそれは断るつもりだ。まあ、場所を提供されても大きな建物を建てるつもりはないけどね。まずは露天商から細々と始めるつもりだし。
シグルドさんやアルファさんからの忠告通り、街や国の為なんかじゃなく、自分の為に楽しくオープンさせていこうと考えている。




