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187話 国レベルの顧客


「本当にありがとうございました! アイラ様! この御恩は一生忘れません!」


 竜巻による轟音が鳴りやんだ外……それに合わせるかのように、神官長マラークさんや神官将、神官の人達がサンスクワット大聖堂内に入って来た。それからずっと、私はお礼を言われている……。


「いや、そんなお礼を言われることなんて。私だけの力で超万能薬が完成したわけでもありませんし」


 万能薬や毒消し薬の調合は出来ていたけれど、超万能薬はオディーリア様に教わったようなものだ。


 彼女は自分の力量では超万能薬の調合は出来ないと言っていたけれど。それでも、完成までの道筋を作ってくれたのだ。周辺に満ちていた瘴気の拡散に至っては何もしていないし……。


「オディーリア様やシグルドさんの協力のおかげです。それに、マラークさん達だって忙しく動き回られていたと聞いていますよ。本当にお疲れ様でした」


「勿体ないお言葉でございます、アイラ様。ありがとうございます!」


「ありがとうございます!!」


「あ、あはは……」


 マラークさんの言葉に合わせて、他の人達も一斉にお礼の言葉を述べていた。もう突っ込まないでおく。でも実際問題として、神官の方々は王都や周辺の村々で苦しんでいた人達に、魔法での治癒を試みていたはず。だから、サンスクワット大聖堂にほとんど神官が居なかったのだ。この瘴気が蔓延している中、いつまで自分の身体が持つか分からず、本当に恐怖だったと思う。


 とても私なんかの「お疲れ様」という一言だけでは言い表せない程の数日間だっただろう。シグルドさんが居なければ、根本的な解決は出来なかったわけだし……。


「あの、お聞きしてもよろしいですか?」


「はい、何でもお尋ねくださいませ」


「瘴気についてはどうなったのでしょうか? 皆さんがここに戻って来たということは、もう外に出ても問題ないのですか?」


 シグルドさんが戻って来てないから何とも言えないけれど、おそらくはそうなんじゃないかと思い質問してみた。


「左様でございます、アイラ様。シグルド殿の打ち出した竜巻によって周辺に蔓延していた瘴気はかなり希釈された状態になっております。同時に瘴気の発生場所も破壊され、そこから出現していた魔物の死亡も確認しています」


 シグルドさんがやっていたことと一致しているわ。ていうか、あれだけ広範囲に蔓延していた瘴気を吸い上げて天空に届けるなんて……凄まじい竜巻を発生させたってことよね。本当にシグルドさんは化け物だわ。


「じゃあ、もう外に出ても大丈夫なんですか?」


「そうですね。現在は問題ないと考えております。ただ……」


「ただ?」


 マラークさんは真剣な表情になっていた。


「今後、瘴気が再発生しないとは限りませんし、瘴気発生場所の完全埋め立てや調査などが必要になってくるかと思われます。万が一、今回のように発生してしまった場合に備え、巨大風力装置のような物の設置が議会では検討されております」


「なるほど……」


 確かにまた別の場所から発生しないとも限らないし、埋め立てた場所から噴出してくる可能性もありそうだ。その為の対応策として、巨大風力装置というのは自然な解答なのだろう。


「さらに、回復アイテムの仕入先として真っ先に上がっておりますのが、アイラ様のお店からでありまして……非常に申し訳ないのですが、顧客として私共に今後、アイテムをお売りいただけませんでしょうか?」


「ま、マラークさん達にということは……ロンバルディア神聖国そのものに、という解釈で良いんでしょうか……?」


「はい、そういうことになるかと。聖王や議会も賛成ですので」


「そ、そうなんですね……それはもう願ったり叶ったりな、ありがたいお話ですけれども……」


「本当でございますか!? それは嬉しい限りでございます!」


 国レベルの顧客を手に入れられるチャンスが訪れようとしていた。予想外という程のことでもないけれど、これって物凄いことよね? シグルドさんやカエサルさんとの個人間での取引とは違うベクトルの売り上げになりそうだわ。


 というか、生産能力的に間に合うのかな……? 私は色々と心配になってしまっていた。


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