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185話 解決への道筋 2


 ゴオオオオオオオって轟音を鳴らしながら、すんごい竜巻が王都ヴァレイの入り口付近で発生していた。近くの建物の窓ガラスは割れ、その竜巻に呑まれて行っている。下手をしたら屋根も吸い込まれて行きそうだ。


 幸い、非常事態宣言が出ているので、周囲には兵士達も含めて誰も居ないのだけれど……私は唖然とするしかなかった。なぜなら……その竜巻を発生させたのがシグルドさんだからだ。


 原理は不明だけれど、彼の持っている二本の剣を振り回すことによって、巨大な竜巻は発生した。要は強さにモノを言わせた力技らしい。アルファさんが物理障壁を展開して、王都への被害を最小限に抑えているけれど、それでもシグルドさんの竜巻の威力を相殺し切れないようだった。


 どうしてシグルドさんが巨大な竜巻を発生させているかと言うと、蔓延した瘴気を天空に打ち上げて極限まで希釈させる為だ。理屈は分かるのだけれど、スケールが違い過ぎてついて行けない……。


「凄すぎますね、シグルドさんって……」


「別のベクトルだが、アイラも決して負けてないと思うよ。自分では気づかないかもしれないがな」


「そ、そうですかね……?」


 アルファさんはそう言って私を褒めてくれた。私が錬金術でやっていることは、Aランクモンスターを大量に倒して、巨大な竜巻で瘴気を吸い上げる芸当をやってのけるシグルドさんと変わらないってことか。嬉しいけど怖くもある……この気持ちを共有できる相手には巡り合わないんじゃないかっていう不安ね。


 シグルドさんは冒険者だから、完全に共有できるものではないし。


「住民の避難が完了している今だから出来る方法だな、あの竜巻は。瘴気が出始めた頃にやっていたら、何人の犠牲者が出たか分からないからな」


「そうですね……パニック状態の時にあんな竜巻見たら、余計におかしくなりそうですし……」


「そういうことだな」


 瘴気の危険性が王都中に伝わり、誰も外に出なくなった今だから行える芸当か……シグルドさんはその辺りも分かった上で、瘴気発生場所に先に行くことにしたんでしょうね。流石に頭の回転も私なんかとは全然違うわ。私だったら、あんな解決策があるなら、すぐにやれば良かったのに……とか考えてしまう性質だし。


「王都の建物にも少なからずの被害が出てるようですけど……瘴気は確実に呑まれているようですね」


「そうだな……このくらいのデメリットは瘴気を拡散させるメリットに比べれば微々たるものだろう」


 確かに……一時、私はこの街を放棄しないといけないんじゃないかとか考えていたくらいだし、それに比べれば、多少、近くの入り口付近の建物や門が壊れるくらいは許容範囲なのだろう。神官長のマラークさんが許可を出した時点でそれが窺えるわね。


 サンスクワット大聖堂に隠れていた人達は、瘴気が薄くなった為に、王宮の方へと避難することになった。超万能薬などで完治している人が多いけれど、念のため、王宮の最新設備で治療や検査を受ける為だ。だから、現在の大聖堂にはほとんど人が居なかった。


 マラークさん達は王都中の建物内に避難している人達に超万能薬を処方したり、王宮に案内したりととにかく忙しいみたいだったから。私を最初に勧誘してきた時のマラークさんは胡散臭さもあったけれど、今のマラークさんを見ていると、本当にロンバルディア神聖国を愛しているんだと確信出来た。


 少しでも神聖国を盛り上げる為に私を招いてくれたのかと思うと、カミーユみたいに嫌でも好感度が上昇してしまう。人を第一印象だけでは決めてはならないという良い教訓になった気がするわね。


「竜巻の風が強いので、私は大聖堂の中に入っていますね……」


「ああ、わかった。何かあれば知らせるよ」


「分かりました」


 サンスクワット大聖堂内には、オディーリア様や五芒星の方々が待機しているはず。彼女達と話でもしようかと思い、私は中へと入った。


「一体、どういうつもりだ……? 其方なりの気まぐれなのか?」


 ん? 中へと入るとオディーリア様の声が聞こえてきた。五芒星の人達と話しているのかと思ったけれど、どうやらそうではないらしい。見当たらないし。彼女は氷漬けのクレスケンスを見ているようだった。


「わらわは其方の一部であるが、あの子は違う。気まぐれで巻き込むことは、遠慮してもらいたいな……」


「……」


 私は思わず柱の影に隠れてしまっていた。明らかにオディーリア様の様子がおかしい。話の内容も聞いて良いものか微妙なところだ……。このまま聞いていて大丈夫なのか、という不安がよぎってしまっていた。


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