184話 解決への道筋 1
「わあ……! 治った……!?」
「ルーナ! 大丈夫なの、元気になったのね!?」
「うん、お母さん! 私、元気になったよ……! もうなんともないよ!」
「ああ……神様! 娘の命を助けてくださり、ありがとうございます!!」
私とオディーリア様の二人で開発した超万能薬……その効果は予想以上だった。シグルドさんで事前に試しているとはいえ、まさかここまで元気になるなんて。
シグルドさんの場合は元々の強さがあるから、普通の万能薬で完全回復まで持って行けたかもしれないけれど……目の前の子供は本当にただの一般人なのだ。この結果は本当に大きかった。
「アイラ様……本当にありがとうございます! 私達の神様は、クレスケンス様ではなく、貴方様になります!」
「アイラ様、ありがとう!!」
「いえ、そんな私なんて……当たり前のことをしただけですし……」
「ああ、なんと慈悲深いお方なのでしょうか……!」
こんな感謝をされたのは、一度や二度ではない……今回の一件で、私は氷漬けのクレスケンスよりも有名になってしまうのでは? と思える程に感謝されていた。もちろんその好意は嬉しいけれど、私は自分が出来ることを精一杯しただけだ。必要以上の感謝は困ってしまう。
それでも彼女達は私への感謝を止めることはない……信仰とはそういうものなのかもしれない。
「随分と感謝されているな」
「シグルドさん……体調はもう、大丈夫なんですか?」
「ああ、特に問題はない」
私はその言葉を聞いて安心した。単純に彼のことが心配だったのもあるけど、それ以上にシグルドさんは居なくてはならない存在だったからだ。万能薬を作っていた時の私自身みたいなものだろうか。
シグルドさんは瘴気発生場所から出て来た凶悪魔獣を打倒し、超万能薬の素材まで調達して来てくれた。今回の最大の功労者は彼以外に考えられない。シグルドさんはそんなことは些細な事情だと一蹴するのだろうけれど……。
さらに、王都に凶悪魔獣が複数で攻めて来た場合、シグルドさん以外では対処が不可能だからだ。アルファさんも1対1ならギリギリ対処出来るのかもしれないけれど、相手が同数以上になれば、かなり厳しい戦いを強いられるはず。そういう意味で、シグルドさんの全快は必須事項だと言えた。彼は何体もの凶悪魔獣を倒したらしいけど、瘴気でやられる以外では無傷だったし。
この非常事態に於いて、彼の存在は最優先に考えなければならないことだった。それはアルファさんやオディーリア様、マラークさんなんかも認めている。
「しかし……現在では存在しないはずのアイテムまで作るとは、信じがたい才能だな」
「オディーリア様が居なければ、それも出来ませんでしたし。私が作ったわけではないですよ」
むしろ、凄いのはオディーリア様だ……なぜ、彼女は超万能薬という失われたアイテムの製法を知っていたのか。こればかりは本当に謎だった。
「ふん……しかしまあ、これでサンスクワット大聖堂の中の者達は救われたわけだ。少しは自分を誇っても良いんじゃないか?」
「ありがたい話ですけど、まだまだ瘴気でやられた人はいらっしゃいます。それに……王都全体を覆いそうな瘴気はどうすれば良いのか、見当もつきませんし……」
超万能薬は完成した。その数を今後、増やしていったとしても濃度の濃い瘴気が周囲を覆っている限り、根本的な解決には至っていないのだ。周囲を覆っている瘴気の対処だけは、私ではどうしようもなかった。
巨大な風力機みたいな物で拡散させる? しかし、その設備を作るのにどれだけの時間が掛かるのか……。
「周囲の瘴気への対処か……とりあえず、瘴気の発生場所については埋め立てておいた。完全ではないが、しばらくは保つだろう。後はこの近辺を覆っている瘴気をどうにかすれば、時間を稼げるわけだ。そういうことで間違いないな、アルファ?」
「ああ、そういうことになるな。では、やはり力づくで行くのか?」
「それが最も確実な戦法だろう。お前も手伝え」
「わかった。私は周囲の人々を守ることに注力しよう」
「十分だ」
シグルドとアルファさんの二人は、お互いに何をするのか分かり合っているようだった。私にはさっぱりだったけれど……二人はサンスクワット大聖堂を出て行く。一体、何が始まるのかしら……?




