181話 オディーリアとの双性錬金 1
「これが超万能薬のレシピノート……まあ、文献の一部ではあるがの」
「オディーリア様、そのレシピノートを出してどうしようと言うんですか?」
オディーリア様はアルファ様と一緒に大聖堂の神官の方々に、文献の持ち出しを頼み込んだ。その意味は超万能薬に関しての記述がある書物を見ることにあったのだけど、マラークさんを通さなくても簡単に許可は下りた。
状況が状況だし、神聖国側としても形振り構っていられないのだと思う。神聖な錬金設備や希少性の高い素材の使用も許可してくれたくらいだしね。それを考えれば、文献を見ることくらい何でもないと言うことなんだろう。
「わらわの記憶が正しかったか。やはり、超万能薬に関しても影見草がいるようじゃな」
「本当ですね……というより、ほとんどの材料は万能薬と共通しているような……」
「うむ、どうやらそのようじゃの。そう考えると、自力で万能薬の調合素材に辿り着いたお主は、本当に恐ろしいの」
「い、いえ……そんな……」
私は謙遜してしまったけれど、確かに考えると怖い気がする。私はサンスクワット大聖堂に所蔵されている文献を読んだわけではないから……。なぜ、万能薬を作れたのだろうか……? それだけではなくて、蘇生薬なんかも。まあ、蘇生薬に関してはシスマと研鑽したという事実があるけれど。
「やはり、そういうことか……」
「オディーリア様?」
オディーリア様はまた真剣な表情になっていた。普段は余裕の笑顔を見せている彼女からすれば、似合わない表情と言えるだろうか。オディーリア様が真剣な表情をしていると、こっちまで怖くなってしまう。シグルドさんが真剣になると不安になるみたいな感じだ。
「ああ、いや……こちらの話じゃよ。アイラが気にすることではない。さて、わらわ達がすることじゃが」
「は、はい……」
「まずは、シグルド殿が帰還するのを待つとしようか。素材が十分に集まってから、調合を開始するぞ」
「で、ですが……そもそも、超万能薬は現代では作れないって言われてますよね? 素材があっても、どうしようもないんじゃ……」
「心配するな、アイラよ。わらわにはその知識がある」
「えっ、オディーリア様にその知識があるって……どういう意味ですか?」
「調合方法は我が頭に入っているということじゃ。ただし、わらわの実力では失敗するからの。お主がわらわの調合手順を真似て完成に持って行くのじゃ」
「そ、そんなこと……!」
そんなこと出来るわけがない……私はそう叫びそうになった。でも、あのオディーリア様が嘘を吐くとは思えなかったのだ。
「お主はただ、自分の実力を信じて前に進むだけで良い。さながらこれは、わらわとアイラの双性錬金というわけじゃな。厳密には少し違うが……」
「双性錬金……」
キース姉弟お得意のダブル錬金製法だ。私とシスマで行ったことはあるけど、今度はオディーリア様と行うというわけか。
「アイラはエリクサーや蘇生薬など、3大秘薬を完成させた時と同じように全力で挑めば問題ない。わらわも全力でお主をサポートしようぞ」
「……わかりました。どのみち、超万能薬を完成させる以外で、この瘴気に侵された人々は治せそうにないですから、全力で頑張ってみます」
「うむ、その意気じゃアイラ」
「はい!!」
なんだかやる気が漲って来たわ。オディーリア様って人を乗せるのが上手い気がする。私はエリクサー級のアイテムを作る時を思い浮かべて調合に励めば良いのよね。オディーリア様の手順を参考にしながら。それならば、出来そうな気がしてくるわ。
あとはシグルドさんが素材の調達をしてくれれば、超万能薬の調合を開始出来る。まあ、あの人のことだから調達して来てくれるとは思うけど……私は何事もないように無事を祈っていた。
氷漬けの錬金術士であるクレスケンスの前でね。




