177話 自分に出来ること 4
サンスクワット大聖堂の錬金施設……私達はマラークさんにその場所へ案内された。中は長年、使われた形跡がなかったけれど、驚くほどに綺麗だった。
ロンバルディア神聖国の神聖なる錬金設備の集合場だけに、常に掃除がなされていたようね。そして……驚くことに影見草などの、希少素材も置かれていたのだ。
「マラークさん」
「はい、なんでしょうか? アイラ様」
「この錬金設備と、希少素材を使わせてもらっても構わないでしょうか?」
「はい、よろしくお願いいたします。お話をお伺いする限り、万能薬の調合をされるということですが、ここにある素材で作れるのでしたら、お願いいたします!」
「ありがとうございます」
事態は一刻を争うかもしれない。私はマラークさんの判断に感謝した。この錬金設備なら……それなりの量のアイテムが作れそうだわ!
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「完成しました! すぐに体調の悪い方への処方をお願いいたします!」
「こ、これが万能薬……? 畏まりました!」
サンスクワット大聖堂の神官の人々に、私は製造した万能薬を渡していった。万能薬と同時に上級毒消し薬なども作っている。必要最小限の量ではあるけれど、急場しのぎには十分なはずだ。
「流石だな、アイラ。私は見ていることしか出来なかった」
「いえ、とんでもないです。私の護衛をしていただいているだけで、とてもありがたいことです」
アルファさんのおかげで、私は調合に没頭することが出来ている。ないとは思うけど、以前のように誘拐犯が来ても問題ないと言うわけだ。
「万能薬なら、なんとか瘴気を駆逐させられるかな?」
「それは分かりません……上級回復薬よりは効果的だと思いますが。あとはしばらく、様子を見るしかないですね」
「そうだな。アイラも少し休んだらどうだ? 疲れているだろう」
「そうですね……少し休みたいと思います」
サンスクワット大聖堂の外がどのようになっているのか……瘴気がどの範囲まで拡散しているのかなど、気になることは多いけど、それは私が心配することじゃない。私が出来ることなんて、所詮は限られている、可能な範囲でも行動を精一杯やるしかない。
私はアルファさんと一緒に大聖堂の隅に行った。マラークさんが用意してくれていたのか、そこには二人分の寝床があった。ちょっと疲れたわね……とりあえず横になる。
「今日はよく頑張ったな。ゆっくり休め、アイラ」
「はい、ありがとうございます……」
私は横になった瞬間に睡魔に襲われた。駄目だ……もう抗うことは出来ない。余程、疲れていたのだろうか? 万能薬が上手く効いてくれることを願いながら、私は夢の中へと入って行った……。




