175話 自分に出来ること 2
王都ヴァレイの住人達はその後、戒厳令が出され外に出ることを禁止された。住人達は家の中へと入り、家から遠くに来ていた人達はサンスクワット大聖堂に入っている。大聖堂の入り口も、当然のように封鎖された。
「外の瘴気の濃度がかなり強くなって来ているな……少しマズイ状態かもしれない」
「そうですか……」
「アイラ、身体の方は大丈夫か?」
「私は大丈夫みたいです。防毒マスクを借りられたので……」
私とアルファさんもサンスクワット大聖堂内に入っている。私は錬金術で薬を作れるので、優先的に防毒マスクを借りることが出来た。私が倒れたら大変なのと、クレスケンスのように信仰の象徴であることが要因なのだと思うけど。
さて、肝心の毒消し薬や上級毒消し薬についてなんだけど……。
「薬の効果はイマイチかもしれませんね……」
「うう……!」
「く、苦しいよ……お母さん……!」
「大丈夫よ、アイラ様からいただいたお薬があるから! きっと良くなるわ!」
私が携帯の錬金セットで作ったアイテムだけでは、数が足りない。体力が低く、症状が出ている人達を中心に使用されているのだけど。多少は効果は出ているようだけれど、完治には程遠いみたいだった。外から瘴気は濃度が上がっているようだし、役に立たなくなるのも時間の問題だろう。
これはかなりの問題点になりそうだ……このままでは、王都ヴァレイで死者が続出してしまうかもしれないし。
「……」
私は自然と氷漬けのクレスケンスを見ながら、考え事をしていた。なぜか彼女から目が離せなかったというのもあるけれど。桃色のロングスレートが美しい女性……生きていたなら、とてつもない美女であったことだろう。
「クレスケンスを見ていたのか、アイラ?」
「えっ、あ、はい……。もしも彼女が生きていたなら、どうしていたのかなって思いまして。過去の錬金国家の代表だったんですよね?」
「そうだな……クレスケンスが居たならば、この状況を打開出来たのかもしれないな」
アルファさんは何かを思い出しながら話している。
「クレスケンスは1000年前の最高の錬金術士と言われている。その物理的な強さも随一と言われており、あらゆるアイテムの精製も可能だったという話だ」
「なるほど……やはりとてつもない人なんですね、クレスケンスって……」
話を聞いている限りでも、明らかに規模が違うみたいだしね。3大秘薬の精製なんかも簡単にこなしていたのかしら? そういえば、万能薬ならもう少し、効果があるかもしれないわね。まあ、材料が足りないので作ることが出来ないけれど……。
と、そんな時だった。何かが……私に話しかけて来たのだ。いえ、あくまでもそんな感覚に包まれただけだけれど。でも、確かに聞こえた……「超万能薬」という薬の名称を。えっ、なにそれ……?




