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172話 瘴気 1


「王都ヴァレイで錬金術のお店を開くというのは、魅力的かと思います」


「でしょう? 特にこの王都の場合、あなた様を崇拝している者達が多いです。アイラ様も楽しく経営を行えるのではないですかな?」


「それは……」


 2号店を出す、という意味では魅力的だけれど、この場所で出店して楽しく経営が行えるかと問われれば疑問だった。この数日だけで、私への信仰というのが見て取れたのだ。ヴァレイは王都だけあり、全てを巡るにはかなり時間を要する。全てのお店となれば余計にだ。


 この場所に出店なんてしたらどうなるか……連日、私の信者の人で溢れることが容易に想像出来た。


 この数日間だけでも息苦しかったのに……住むとなると。


「何か迷っておられるのですかな?」


「迷っているというか、なんというか……」


「失礼かと思いましたが、アイラ様のことは少し調べさせていただきました」


 ん? マラークは何を言っているんだろうか……私のことを調べた?


「アイラ様はユリウス・ホーミング第二王子殿下に、宮殿の錬金術士を解雇されていらっしゃいますね? その後は宿屋でエンゲージのお店を始められたようですが」


「確かにそうですが……」


「私の個人的な見解では、ホーミング王国に居るよりもロンバルディア神聖国に居る方が、より高い評価を得られると思われます。ですので、私はこのようにアイラ様を勧誘させていただいているのでして……」


「……」


 マラーク様の言っていること間違ってはいないだろうけれど、なんだか極端な話な気がするわ。確かにユリウス殿下関連は非常に迷惑だったけれど。


「アイラ……マラーク殿に言うことがあるのなら、ハッキリと言った方が良いと思うぞ?」


「アルファさん……」


 アルファさんはあくまでも護衛としての立場を崩す気はないようだ。私からの求めがない限りは、この件に関しての助言はしないつもりなのだろう。いやぁ、人間が出来ているわ。


「そうですね、私は……」


「待て……これは……」


「えっ、シグルドさん……?」


「……?」


 突然のシグルドさんの介入に、マラークさんやアルファさんも怪訝な表情を見せていた。シグルドさんが割り込んでくるのが一番予想外だったから。


「この感覚、この臭い……王都ヴァレイの入り口付近から流れて来ているな」


「えっ……? 私はほとんど気付かなかったけれど、確かになんだろう? 硫黄の臭いみたいなものが……」


「シグルド、この臭いは何だ?」


「この独特の臭いは、メビウスダンジョンからの瘴気かもしれんな。しかし、王都ヴァレイにまで南下してきているとなると……マズイぞ」


「ま、まさか……!」


 メビウスダンジョンは王都ヴァレイから、そこそこの距離が離れているはず。そんな場所から漏れた瘴気が周囲を汚染していたとしたら、今頃、国境線とかは大変なことになっているんじゃ……?


「うっ……お母さん、なんだか気分が悪いよ……」


「だ、大丈夫! エレン!?」


「うう……なんじゃ、この臭いは……? 気分が悪いのぉ……」


 そんなことを考えていると、近くの子供やお年寄りが体調不良を訴え始めた。そして、それとほぼ同時にマラークさんの元に配下の人が駆けつけて来る。


「マラーク様! 大変でございます!」


「どうかしたのか……?」


「は、はい! まだ未確認情報ではございますが、王都ヴァレイより北数キロメートル地点から、謎の瘴気が漏れ出しているとの報告がございました!」


「なんだと……!?」


 どういうことだろう? この瘴気と思われる臭いはメビウスダンジョンからのものではないの? 

 

 確かに、距離的には考えにくいけれど……北の数キロメートル地点からの瘴気なら、距離的には辻褄が合いそうだけど。現在の私には正しい情報がどれなのか、まったく分からなかった。


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