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164話 アイラの想い 2


「なに? アイラちゃん、俺を旅のお供に雇うだと……?」


「はい……ダメでしょうか? ほら、レッグさんは私の村からカタコンベに行く時も護衛してくれましたし……」


「そういやそうだったか。もう、2年近く前の話になるんだよな……懐かしいぜ、うんうん」


 私は冒険者のレッグ・ターナーさんのところに依頼をしに来たのだけれど……。


 なんだか、レッグ・ターナーさんは泣いているようだった。冒険者としても実績豊富で5人の子供や奥さんを育てている苦労人……人間としても信用出来る人だし、護衛としてお願いする場合、一番安心できる人だと直感していた。


「しかし、アイラの嬢ちゃんには強力な護衛が居なかったか? なんか普段は透明になるマントで姿を隠してるようだったが……」


「流石に神聖国に行くのには時間も掛かりますし……あの人達は本来、オディーリア様の護衛をしないといけないはずなんです。そこまで我が儘は言えませんよ」


「なるほど、そういうことかい」


 エメルさん達は護衛をすることに躊躇いはなかったようだけれど……まあ、大森林には来てくれたわけだしね。でも、流石にあの人達ばかりに甘えるわけにはいかない。


「私も一応は薬屋の店主を務める身ですし……周りの好意に甘えて、無料で施しを受けるのは程々にしたいと考えているんです。自立にも繋がりませんし……」


「アイラちゃんは今の段階でも自立は十分にしてるとは思うがな。クリフト王子殿下達にも対価は払っているんだろ?」


「そうですけど……今後のこともありますし、護衛を雇うなら自分の力で依頼してみたいんです」


「ほほう、それは立派な考えだな」


 レッグさんは頷きながら、私の考えに同調してくれているようだ。なんだか嬉しくなってしまう。レッグさんやオディーリア様達との繋がりを大切にし、困った時には依頼という形でしっかりとお願いをする。それが社会で生きる者の務めだと思っている。それを思うと今までの私は……ベルトコンベアー方式で生きて来たわね……。


「しかしな嬢ちゃん。南にはメビウスダンジョンがあることを知っているだろ?」


「そうですね……新しい遺跡で、危険度も高いという」


「そういうことだ。神聖国への道のりは決して楽なものじゃない。馬車を走らせても1日では到底着かない距離だからな。嬢ちゃんは今や、王国になくてはならない存在だ……万全を期すなら相応の護衛を選ぶことだな。既に俺では荷が重いぜ」


 レッグさんでも荷が重いって……別に難易度が高いダンジョンに入るわけでもないのに……。


「でも、所詮は隣国に向かうだけですよね?」


「意味合いとしてはそうだが、アイラの嬢ちゃんを連れて行くとなると、責任感が数倍になるんだよな」


 そういうことを言われると、どういう反応をして良いのか分からない。おそらくレッグさんは、私の錬金術士としての代わりが居ないから、もしものことがあった場合、冒険者として困るということを言っているのだろうけれど……。


 嬉しいことだけれど、私はただの一般人だし、本当にどういう反応をしていいのか悩んでしまっていた。


「そうなると……神聖国に精通している人物で言えば、アルファさんに依頼する方が良いですかね?」


「まあ、アルファ・ルファの嬢ちゃんの方が俺よりも10倍は頼りになるな……だが、最も安心を与えてくれる人物って言えばそりゃ、シグルド・バーゼルだろうよ」


「あっ……なるほど……」


 なるほどシグルドさんか……すっかり忘れていたけれど、確かに適任だわ。お店の常連さんという印象は強いけれど、護衛を依頼する相手としては見過ごしていた。なんというか……あんまり良い顔をされない気がしてしまうから。


双葉社様の「マンガがうがう」というアプリで2021年6月26日から

「がうがうモンスター」では2021年7月24日から漫画化が決定しました!

漫画担当は樋木ゆいち様です! キャラクター原案は志田様です!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 自国においても、王都の周辺地域に各領地が点在してるだろうし、国の防壁・防衛として、隣国に隣接する領地を防波堤として、侯爵や辺境伯などで固めたりするかと。 そういうのがないんですね? …
[気になる点] 「そういうことだ。神聖国への道のりは決して楽なものじゃない。馬車を飛ばしても1日では到底着かない距離だからな。嬢ちゃんは今や、王国になくてはならない存在だ……万全を期すなら相応の護衛を…
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