148話 オイゲン商会の崩壊 2
「アイラ君、協力を感謝するよ。オイゲン商会に関しては、この街ではもちろん、他の街でも営業は難しくなるだろう。これで被害に遭った人々も報われるんじゃないだろうか。私の依頼達成でもあるしね」
「いえ、とんでもないことです……」
オイゲン商会の件をクリフト様と話してから数日、ネプトさんとアンジェリーナさんが私の店を訪れていた。お店の運営はライハットさん達に任せて、私は彼らと少し雑談をしている。
「正直な話、私はあんまりお役に立てなかったですし……」
「いやいや、そんなことはないよ」
「ええ……アイラは謙虚」
二人は私のことを褒めてくれるけど、正直に言うと、オイゲン商会壊滅の件に関してはそこまで役に立ってないとは思っている。そもそもの問題として、直接戦闘では役に立たないし……。
ライハットさんや五芒星の人達が居なかったら、私はおそらく誘拐されていただろうし。オイゲン商会の武闘派? と目されるデノン・アルスター達を倒したのはアンジェリーナさんやシグルドさんだし。
今回のことで、私がしたことってなんだっけ? ええと……偽物を見抜く薬の調合と自分の店の売り上げを伸ばすことくらい? それっていつも通りというか……本業の分野よね。
「私が行ったことって、せいぜい錬金術に関することですし」
「それが何か問題があるのかい? 自分の得意分野で役立てたというのは、誇っても問題ないと思うがね」
「適材適所……全く問題はない」
「あ、ありがとうございます……」
ネプトさんとアンジェリーナさんの言葉は正論だわ。確かに適材適所という言葉は的を射ていると思う。人にはそれぞれ得意分野がある。それを正確に認知してその得意分野で活躍出来れば、卑下することはないのかもしれない。
そう考えれば、今回の件に関しても私は役に立ったと胸を張っても良いのだろうか? それを判定するのは自分ではないけれど、他人からの評価で認められているのなら、素直に受け取った方が良いわね。
また1つ社会勉強が出来た気がするわ。
「ありがとうございました、ネプトさん、アンジェリーナさん。なんだか自信が持てたような気がします。アイテムの効率的な複製方法まで教えてもらって……感謝しかありません」
「そう言ってもらえるのは嬉しいよ、私達も勉強になったからね」
「ええ、勉強になった」
「はいっ!」
あれ? でもこれで彼らの依頼が終了ということは、街を離れるということなのかな? それはそれで寂しいかもしれない。
「ああ、それと……これは未確認情報ではあるんだが」
「未確認情報ですか?」
あれ? 感傷に浸っていたけれど、少し話の方向が変わったような……?
「南のロンバルディア神聖国がホーミング王国に向かっているという情報があるのだがね」
「ロンバルディア神聖国は、太古の錬金国家を崇拝し、神と崇めている国家……」
ネプトさんとアンジェリーナさんから、予期せぬ情報がもたらされた。ロンバルディア神聖国は確か……ええと、どんな国家だっけ? アンジェリーナさんの言葉が正しければ、錬金術を崇拝しているのかしら……?
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