140話 デノン・アルスター
(デノン・アルスター視点)
「報告いたします、デノン様」
「ああ、報告してくれ。首尾はどうだった?」
オイゲン商会直営店の2階にて、私達は話をしていた。
私の前に現れたのは、隠密能力に長ける部下の一人、キース・オードリュクスだ。アイラ・ステイトを誘拐に向かった、二人の賞金首の監視に当たらせていたのだが。彼らが裏切れば、すぐに首を刈るように……。
「賞金首のマギー・ケルン及び、ダイダロ・ローンの二人は捕縛された模様です」
「あの二人が裏切ったのではなく、やられた……ということか?」
「左様でございます、デノン様」
私はその報告に多少ではあるが驚いていた。マギーとダイダロはホーミング王国の中では、有名な賞金首に分類されるだろう。単純な戦闘能力も高いと言える。
アイラ・ステイトの身を守っている連中はさらに上の実力を持っているということか……?
「誰に敗れたのはか分かっているのか?」
「ダイダロに関しては、ライハットという者に敗れたようです。この男はクリフト・ホーミング王子の護衛も務めています」
「クリフト・ホーミング第一王子の護衛か……」
ライハット・クレスタ……聞いたことはある。素手でも相当の実力者なのだろう。しかしまさか、ダイダロを倒す程とはな。
「マギー・ケルンは誰にやられたのだ?」
「こちらは……申し訳ございません。なんともはっきりしないのです」
「どういうことだ?」
「はい……確かに正体不明の女がマギー・ケルンを倒したのは事実なのですが……いつの間にか、姿を消しておりました」
「なに……お前が見失うレベルでか?」
「左様でございます」
まさか、キース程の実力者が相手の位置を把握し損ねるとは……なにか裏がありそうだな。
「如何いたしましょうか、デノン様……あの二人が敗れた段階で、計画の出鼻をくじかれた形になります。深追いをすると……」
「そうだな。冒険者の上位陣もあの店は贔屓にしていると聞く。あまり、目立ち過ぎるのは危険か……」
特に冒険者ランキングトップクラスの者達に介入されては……。
「ほ、報告いたします!」
「どうした?」
現れたのはキースとは別の隠密行動を行っていた部下だった。焦っている様子で私の元へ来たようだ。
「直営店の周辺に複数の人影が散見されます! 正体は現在のところ不明です!」
「ちっ、一体、何者だ……?」
行動が早すぎる……マギー・ケルンやダイダロ・ローンからは足が付かないようにしていたはずだが。別件で我々を捕らえに来たのか……?
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