139話 戦闘
「おらぁぁぁぁ! 死ねよっ!」
「エメルさん!!」
「……!」
マギー・ケルンの短刀二刀流による連続攻撃。桜庭亭内の狭い範囲で行われている為か、エメルさんの逃げ場を失くしていた。こんな狭いところではあんな連撃を避けることは出来ない。しかも相手は賞金首……人間を殺すことに一片の躊躇いすらなさそうだし。
その隣ではダイダロとライハットさんが組み合っていた。事情の知らない人から見たら、なにかの力比べをしているみたいに見えるかもしれない。
ライハットさんも狭い室内での戦いになる……大丈夫なのかな……。
「ははははっ、どうした? こんなものか?」
「こんなものか、とは? なんのことですか?」
「強がるな。パワー差は明らかだ。アイラ・ステイトを差し出すなら、今であれば命は助けてやるぞ?」
ライハットさんとダイダロの会話が聞こえてくる……やっぱり、有名な賞金首の実力は予想以上なの? これじゃあ、エメルさんも……。
「ははっ、舐めないでいただきたい。アイラ殿を差し出すくらいなら、死を選ぶ覚悟は出来ていますよ。そうでなければ、護衛の意味はない!」
「ライハットさん……」
ライハットさんの覚悟は素直に嬉しかった。でも、私の為に二人が傷付く姿を見たいとは思わない。どうすれば……。
「それから……ダイダロ。あなたはどうやら、私の強さを低く見誤っているようだ」
「なに……?」
「グリフォンを相手にした場合、私一人では到底勝てないでしょうが……あなた程度であれば、話は違ってきますよ」
「何を言っているバカめ。パワー差は明らか……な、なに……!?」
力比べで押されていると思っていたライハットさんだけど、いつの間にか優位な態勢になっていた。今まで手加減をしていたってこと?
「あなたを倒して18万スレイブを獲得できるのなら、かなり美味しい相手ですね!」
「ぐ、ぐあぁぁぁぁ……!!」
ライハットさんは優位な態勢から、一気にダイダロの足を掛けて地面に叩きつけた。さっきまで自信満々だった相手が泡を吹いて気を失っている……私の心配はどうやら杞憂だったようだ。
と、いうことはエメルさんも……?
「が、がは……!」
「この程度……少し残念です」
エメルさんは腕に仕込んでいたトンファーで、マギー・ケルンを打ち倒していた。
「凄い……」
「仮にも我々はオディーリア様を守る五芒星です。グリフォン戦では不覚を取りましたが、賞金首程度に敗れはしません。それから……ライハット様も流石の腕前ですね」
エメルさんとライハットさん……私はこの日、初めて二人が肩書きに恥じない実力者なのだと分かったんだと思う。
感謝の気持ちと共に、尊敬の念が爆上がりしました。というか、私の周りの人の戦闘力の序列に差があり過ぎてとんでもないことになっている気がする……。
みんな一般人から見たら化け物レベルだったのね。




