138話 誘拐犯 2
「ひゃははは、俺達がどの程度の強さか分かっていないようだな? え?」
両手に短めの剣を持ったスキンヘッドの男。明らかに人を誘拐してもおかしくない風貌を持ったその男は、二つの剣を器用に振り回しながら話していた。
「知っています。あなたはマギー・ケルン。15万スレイブの賞金首ですね」
「なんだよ、なかなか博識じゃねぇか。頼むから少しは楽しませてくれよ?」
どこかの単独冒険者さんが言いそうなセリフだった。私は思わず苦笑いしてしまう。15万スレイブの賞金首か……かなり高い額だとは思うけど、どのくらいのレベルかは分からない。
「ふん……俺の相手はこの優男か」
「申し訳ありません、私ごときで……あなたは18万スレイブの賞金首、ダイダロ・ローンですね?」
「俺を知っているか。なるほど……唯の優男ではないようだな」
「嬉しい誉め言葉ですね。最近は自らの自信がへし折られる事態が多かったので……なんとか、汚名返上したいものです」
エメルさんと15万スレイブの賞金首である、マギー・ケルンが睨みを利かしている隣では、ライハットさんと賞金首のダイダロ・ローンが向かい合っている。互いにすごい気迫だ……とても桜庭亭の中で行われている事だとは思えない。
アミーナさんや他のお客さんは奥に隠れたようね。その場には私達以外の姿はなかった。
「ライハット様……そちらの賞金首の始末をお願いしても宜しいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。私もアイラ殿の護衛として、少しは役立つところをお見せしなければならないので」
「そうですか……ありがとうございます」
エメルさんとライハットさんはお互いに頷き呼吸を合わせていた。私は正直、安心していいのか分からなかった。シグルドさんやネプトさんとは違い、彼ら二人の強さの指標が分からなかったから。
ただ一つ言えることは、グリフォンよりは弱いだろうということ。それは相手の賞金首にも言えることだけど、これではどちらが勝つか分からない。ネプトさん達のようにランキングなどがないので、強さの指標が分かりにくい弊害と言えた。
相手の二人はそこそこ有名な犯罪者みたいだし……大丈夫なのかな?
「心配には及びませんよ、アイラ殿。相手は確かに強い……しかし、私達の戦力はそれ以上です」
「ライハットさん……?」
まるで私の心を読んだようなライハットさんの言葉。本当に読んだわけではないだろうけど、顔色から判断したのかもしれない。
「舐められたものだな……」
「ぶっ殺してやるぜ!」
ライハットさんの言葉に私が安心する直前……彼らの戦いは幕を開けたのだった。私はただ、無事に終わることを祈るしか出来ない。
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