131話 エンゲージの通常営業 1
ネプトさんから言われたこと、それはエンゲージのお店をさらに繁盛させること。それがオイゲン商会へのプレッシャーにも繋がり、グリフォンの翼などの偽物を売っている彼らを追い詰めるきっかけになるかもしれないから。
私はその言葉を信じて、ネプトさんから教えてもらった技法を用いて、今まで以上に調合を頑張っていた。で、それから1週間くらいが経過したある日……。
「アイラ貴様……これは一体、どういうことだ?」
「どういうことって、どういう意味ですか? シグルドさん」
久しぶりに来てくれたシグルドさんだけど……私の店の品揃えを見て、驚いているようだった。
「いや……エリクサーやエリキシル剤の数が、今までよりも大幅に増えているだろう?」
「あ、流石ですね。シグルドさん、分かりますか?」
「ああ……何かあったのか?」
シグルドさんの洞察力の高さには私も前々から驚いてはいた。今回はアイテム数だけで、何かあったと予想しているところが凄いと思う。インビジブルローブを身に着けた五芒星もすぐに看破した実績があるし、やっぱりこの人は只者ではないわね。
「冒険者ランキング1位のネプトさんから、少し錬金術のコツを教えてもらいまして」
「ほう、奴から教わったのか」
「はい。それで、エリクサー級のアイテムを量産することが出来るようになりました」
「なるほど、そんなことがな……しかし、エリクサー級のアイテムの量産体制か。ふん、やるじゃねぇか」
「ありがとうございます、シグルドさん!」
シグルドさんに褒められるのも、やっぱり嬉しい。トップクラスの冒険者に認めてもらったという自信に繋がるから。ネプトさん達とはまた違った嬉しさが込み上げていた。
「数があるなら、買い溜めでもしておくか。エリクサー10個と万能薬10個だ」
「わ~お、大人買いですね! ありがとうございます!」
「お前の為じゃねぇよ、自分の為だ」
「わかってますって」
合計で20万スレイブのアイテムを買ってくれたシグルドさん。彼のお財布事情は本当に興味あるわ……20万スレイブもの大金を即金で出せるって、どうなっているんだろう?
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「そういえば、近くに出来たオイゲン商会の直営店……あちらとの売り上げ合戦はどうなっているんだ?」
「売り上げ合戦……まあ、純粋な売り上げなら勝ってますよたぶん。1回で20万スレイブも落としていただける顧客もいらっしゃいますし」
「ふん、褒めたところで何も出ないぞ」
「分かってますって」
シグルドさんはぶっきら棒に言いながらも、少しだけ嬉しそうにしているように見えた。気のせいかもしれないけれど。
「ところで、エコリク大森林の調査は大丈夫だったんですか?」
「クリフト王子殿下が既に顔を出しているんだろ? 聞いていないのか?」
「大丈夫だとは聞いています。でも、やっぱり心配じゃないですか。シグルドさん、なかなか顔を出してくれませんでしたし……」
シグルドさんがここに来たのは本当に何週間振りかになる。エコリク大森林から無事に戻っているという報告は聞いていても、ちょっとだけ心配ではあった。
「グリフォンが合計で12体出たとか聞きましたし……」
「ああ、それは間違いないな。通常ならば、全滅していてもおかしくない状況ではあった。しかし、俺からしてみれば、準備運動にはなったというレベルか」
うわぁ……流石はシグルドさん。グリフォン12体の出現にも全く怯んでいる様子がないわ。話の流れは当時のエコリク大森林の様子にシフトしていった。
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