130話 才能開花 2
「ネプトさん、すみませんでした。夜まで付き合ってもらって……アンジェリーナさんも」
調合に夢中になっていたようで、気付いた時にはエンゲージのお店の閉店時間になっていた。ライハットさん達に任せていた店は片付けの準備をしているところだった。ライハットさん達にも申し訳なかったけれど、それ以上にネプトさん達に悪いことをしてしまったかもしれない。
「本当に申し訳ありませんでした」
「……気にしないで。楽しかった」
「えっ? そ、そうですか……?」
「……ええ」
アンジェリーナさんは無表情ながら、ネプトさんよりも先に私に話しかけてくれた。楽しさの度合いは、彼女の表情からの判定は難しかったけれど、私はとても嬉しかった。普段無口なアンジェリーナさんにここまで言わせることは、早々出来ないと思うから。
「私もアイラ君の調合を見ていて、すがすがしい気分になれたよ。気持ちとしては、アンジェリーナと同じと言えるだろうね」
「そうなんですか……?」
「ふふ、本人があまり自覚していないところが面白い。まあ、無自覚な方が色々と楽しめるがね」
……? 私の調合がそんなに面白かったのかな? 普通に調合しているだけではあったけれど。ま、いいか、二人とも楽しんでいたみたいだし。
「あの、ネプトさん」
「なんだい?」
「オイゲン商会の件について、私に手伝えそうなことってないですかね?」
ネプトさんには、とても素晴らしい技法を教わった。例の偽物を見分けるポーション精製のお礼とはいえ、こんなに凄い複製法のコツを伝授してもらっては、本当に申し訳ないレベルだ。だから、私はなにかオイゲン商会関連で手伝えることがないかを申し出てみることにした。
オイゲン商会関連の出来事は、私にとっても無関係とは言えないしね。
「そうだね……そう言ってくれるのは、非常に嬉しいのだが……」
ネプトさんは、私の申し出に考えるような素振りで返してくれた。
「しかし、アイラ君の身に何か遭っては意味がないのでね。優秀な護衛が付いているとしても」
「た、確かにそうかもしれませんけど……」
グリフォンとの戦いを思い出してしまう。確かに、あんな状況になっては意味がないかもしれない。と、いうことは私に手伝えることはないのかな? そう思っていたら、ネプトさんが提案を出してくれた。
「アイラ君の場合は圧倒的な錬金術があるだろう? 私の教えた技法と合わせて、今まで以上に調合を頑張ってくれれば問題ないさ。それが、オイゲン商会の出方を伺う要になるかもしれないからね」
「なるほど……私は本業を頑張れば良いということですね?」
「そういうことだね。私達は調査でオイゲン商会を監視する。アイラ君はお店経営を通してオイゲン商会にプレッシャーを掛ける。役割は違えど、目指す先は同じになるだろう」
「わかりました。それでは、ネプトさんに教えてもらった技法を駆使して、さらに売り上げ加速をしていきたいと思います!」
「そうだね……まあ、君の場合は程々でも十分すぎるだろうから、その辺りは適当にね」
「はいっ!」
ネプトさんもアンジェリーナさんも苦笑いをしていた。その意味合いについてはよくわからなかったけど、当面の目標が出来たのは良いことだわ。私はいつも通り、エンゲージのお店経営に勤しめば良いわけね! ネプトさんの技法を会得した反動からか、いつも以上にやる気が漲っていた気がする。
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