129話 才能開花 1
すごい……! 自画自賛するつもりなんてこれっぽっちもなかったけれど、今の私は自分で自分を褒めたい気分で満たされていた。ネプトさんから教わった、アイテム複製のコツ……それを応用すると超上級回復薬まで効率的に複製が出来たんだから。
ネプトさんからは、次はエリクサーの複製を試してみるように言われた。私としても緊張の一瞬と言えるかもしれない。ネプトさんの表情的には、これは流石に成功しないだろうと思っていると思うけど。
でも、私の中では失敗という2文字が消え去っていた。もしも、エリクサー級のアイテムの効率的複製が可能になった場合、どれほど売り上げに貢献するだろうか? 最小限の素材でエリクサーの複製を可能にする……今までの1万スレイブという金額を下げて、もっとたくさん買ってもらうなどすれば、爆発的な利益をもたらしそうな……。
あ、いけないいけない。つい、商売人の魂が心を支配してしまっていたわ。
「……」
「これは……!」
そうこうしている間に、エリクサーの複製が完了した。見たところ、出来上がりとしては完璧だと思う。私はエリクサーを複製した段階で、一種の大きな達成感を感じていた。
「ネプトさん! 出来ました……!」
私はとても嬉しくなり、成果のほどを一早くネプトさんに伝えた。
「アイラ君……君なら成功しそうな気はしていたが、まさかこの短時間でエリクサーの複製まで成功させるなんてね。いやはや……才能というものは絶対というかなんというか……恐ろしいね」
冒険者ランキング1位「イノセント」のチームリーダーである、ネプトさんが驚いた表情で私を見ている……なんだか不思議な光景だった。
「アンジェリーナ、どう思うかね?」
「……非常に素晴らしい、としか言いようがない」
普段は冷静で無口なアンジェリーナさんも、驚いているように見えた。……なんだろう? 少しだけ取り残されたような感覚が身体を巡ってしまった。褒められるのは嬉しいことなはずなのに……。
「おめでとう、アイラ君。エリクサーの複製にも成功したのであれば、本当に私が教えられることはないと言えるね。後は、君がどれだけ応用を利かせられるか、にかかっていると思うよ」
「ネプトさん……ありがとうございます!」
ネプトさんからの自信に繋がる言葉を貰った。後は私がこの技法をどのように使っていくか……。少しだけ不安がよぎってしまったけれど、エンゲージの売り上げにも直結しそうだし、何もデメリットはないわよね! 私はそのように思うことにし、エリクサー複製の事実に酔いしれることにした。
これは俗にいう、才能開花と呼ばれるものなのかもしれない。
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