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128話 ネプトの教え 3


(ネプト視点)


 私はオーセントポーションを作ってくれたアイラ君に、せめてものお礼として自らの錬金術を教えることにした。教えると言っても正直、彼女の方が実力は明らかに上と言えるがね。


「ネプトさん、出来ました。アイテム複製調合作業はこういう手順で合ってますか?」


「そうだね、特に問題はないように思える。では、次は超上級回復薬の複製を始めてみようかね」


「はい、分かりました」


 彼女は屈託のない笑顔で私に微笑んだ。なるほど、この笑顔は反則かもしれないね……アイラ君の虜になる男性が多い理由も頷けるというものだ。私もあと10年若ければ……なんてね。


 さて、私が教えている技術はアイテムの効率的な複製方法だ。この技術をマスターできれば、理論上は全てのアイテムの複製が可能になるはず。これはおそらく、ホーミング王国の最新設備でも実践されていないことだろう。噂では、低級のアイテムであれば複製可能とのことだが。


 現在、アイラ君は超上級回復薬の効率的複製作業を実践している。私が教えた技法はあくまでも技法に過ぎない……会得できるかどうか、応用できるかどうかは本人の努力や才能によるところが非常に大きい。さて、どうなるか……アンジェリーナも興味津々のようだ。彼女にしてはめずらしいね。


「……出来ました!」


「なんと……早い……!」


 まさか……どうなっているんだね、これは? 見たところ、先ほどまでは1個しかなかったはずの超上級回復薬が5個に増えている。効率的複製を超上級回復薬に応用出来たというのかね? この短時間の間に……私がアイラ君に技法を教えて、まだ2時間も経過していないがね。


「……凄い」


「ありがとうございます、アンジェリーナさん!」


 アイラ君はとても嬉しそうだね。天才、奇跡の錬金術士、美人錬金術士……冒険者界隈では、幾つかの肩書きで呼ばれていたが、これは想像以上だね。


「久しく忘れていたね……この感覚は」


「ネプトさん? どうかしたんですか?」


「いや、なんでもないのだよ……」


 私が冒険者の中で味わった敗北感……相棒であるアンジェリーナに実力で勝てないと悟った時の気持ちに似ているかもしれないね。私はそれから万能を目指すようになった。錬金術も含め、あらゆる分野で一線級の活躍が出来るように。


 そして、今日に至るわけだが……しかしまた、アイラ君のような存在に出会えるとは思ってもみなかったのだね。全く……世界は広いというか、なんというか……冒険者ランキング1位のチームリーダーになっても、まだまだ勉強が必要だね。


「あの、ネプトさん……?」


「ああ、申し訳ない。少し考え事をしてしまっていたよ。私が教えた技法は着実に、アイラ君の物へと昇華しつつあるようだね。次は……エリクサーの複製に入ってみようかね」


「……わかりました」


 エリクサーを含めた3大回復薬の調合。アイラ君の表情に変化は見られない……成功するという確信があるのかもしれないが。本来であれば、私の技法を使ったとしても複製は不可能なはず。私の技法とはいえど、そこまで万能ではないからね。


 しかし、もしも可能にしてしまったら……それはもう、新たな技法の誕生、完全に独立したスキルを会得したことを意味するだろうね。天才を超えた人智の到達していない領域に、足を踏み入れることになるのかもしれない。

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