123話 エンゲージにて 1
その日は比較的、穏やかな日であった。クリフト様達がエコリク大森林に行かれてどのくらいが経過したのかしら? 1週間くらいかな?
私はいつも通り、エンゲージのお店を経営していた。嘘発見器のような薬品の調合は大体終了し、既にネプトさんに納品してある。報酬として、ネプトさんの後日の教えと5000スレイブ貰ってしまった。
ネプトさんからの連絡はその後ないけれど、どうなっているのかしら? その連絡が来るまでは私は待機状態みたいなものね。
「アイラちゃん、上級回復薬10個もらえるかい?」
「畏まりました。1万スレイブになります」
「はいよ」
バリバリの5児の父親であり、冒険者ランキング14位のパーティに属しているレッグ・ターナーさんが買い物に来てくれていた。シグルドさん程ではないけれど、彼も頻繁に私の店を利用してくれ、その金額も大きい。流石は14位……5人の子供と奥さんを養うって、どのくらいの稼ぎなのかしら?
一般的な1か月1万スレイブの稼ぎでは難しいと思うし、そもそも現在、1万スレイブの買い物ができないわよね。普通に考えたら、1か月で10倍以上の稼ぎはあるんじゃないだろうか。そうなると、トップ5の人達の稼ぎって……? 守銭奴ってわけじゃないけど、やっぱりお店を経営している身としては気になる情報ではあった。
「どうしたんだ? アイラちゃん?」
「い、いえ……なんでもないんですが……」
「俺の方を見てなかったか? 駄目だぜ、惚れちゃよ。アイラちゃんは確かに可愛らしいがちょいと若すぎるしな」
「奥さんに聞かれたら大変ですよ……お子さんも居るんでしょ?」
「ははははっ、違いねぇ!」
レッグさんは確か35歳。私とは2倍くらい離れている。こういう冗談が時々飛んでくるので、面白い人という印象が強かった。
「となると、王子殿下の心配でもしているのかい?」
「クリフト様ですか? 確かに、心配ではありますけど……」
精鋭の兵士達で向かっているらしいし、シグルドさん達冒険者も居るらしいので、私はそこまで心配はしていなかった。クリフト様ならきっと、グリフォン討伐という困難な状況も乗り切れると信じているから。
「しかしアイラちゃんも17歳か」
「はい、そうですね」
妙に首を上下に振りながら、しみじみとした表情でレッグさんは話している。まるで父親のそれみたいに。
「そろそろ、彼氏の1人も出来て良いころだよな~」
「えっ? レッグさん……どうしたんですか?」
なんだか、話が変な方向に進みそうな予感が……いえ、確実にレッグさんはその方向での話をしようとしている。でも、妨害するのも悪い気がしたのでそのまま聞くことにした。そんなに嫌いな話ではないしね。
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