120話 索敵
(クリフト王子殿下視点)
エコリク大森林へと入った私達だが、野営地を守る部隊と二手に分かれていた。300人の部隊を組んではいるが、森へと入ったのはその内の180人だ。
「このまま何事なく、済むことを祈っております」
「理想としては確かにその通りだ。出来るだけ、兵士の犠牲等は避けたいからな」
私もロブトー兵士長も索敵班の一員として動いていた。中央後列辺りから、周辺の索敵をしている兵士達に効率よく指示を出すのが主な役割だ。索敵をしている兵士は攻撃力の高い火炎槍と軽量だが防御性能の高い特殊アルミプレートで全身を覆っているのだ。
いかにグリフォンの一撃とはいえ、そう簡単に貫通できる代物ではない。
そのすぐ後ろからは、アイテム係が待機しているのだ。バックアップ体制は万全と言えるだろう。各々の冒険者たちについては、基本的には自由行動にしている。私達の作戦と同じ動きをさせても、かえってやりづらくなるかもしれないからだ。
既に索敵を始めてから、半日近く経過している。今日は初日なのだし、あまり無理をしない方が良いかもしれない。このあたりで、切り上げるとするか。
「ロブトー兵士長。そろそろ、戻る準備を」
「畏まりました……むっ!?」
と、そんな時だった。私の真正面の兵士達からの叫び声があがったのは。
「ぐ、グリフォンが現れました! 王子殿下! ご指示をお願いいたします!」
「来たか……!!」
私も目視で確認が出来た。グリフォンに間違いない。今回は、以前とは準備のレベルが違う。私はすぐに兵士達に迎撃するように命令した。
「火炎槍を使え! 一気に焼き尽くすんだ!」
「畏まりました!」
私の指示に呼応するかのように、数十メートル先でグリフォンと兵士達のバトルが始まった。決してグリフォンの間合いには入らずに、射程の長い火炎槍で焼き尽くす戦法だ。さらに、その場に冒険者ランキング9位のワルプルギスのメンバーが参戦したようだ。
「バリア!」
「キュオオオオオオ!!」
魔導士による防御魔法が行使される。ワルプルギスのメンバーの参戦もあり、一気に私達が優勢に傾いた。はずだったが、一撃一撃の威力はカミーユの魔法攻撃に比べれば低いのか、グリフォンに致命傷を与えられない。これは……以前と同じような様相を呈してきた。
「くっ! 敵の攻撃はなんとか防げても、火炎槍でも攻撃力が足りないか……!」
「王子殿下! 私も参戦して参ります!」
「頼む、兵士長!!」
「お任せを!」
ロブトー兵士長も参戦すべく、前方のグリフォンに向けて走って行った。彼の装備は以前とは違う。今回の火炎槍と特殊アルミプレートの武装であれば、元々王国最強の肩書きがさらに確実なものになる。
「ギイィィィィィィ!!」
何名か負傷しているが、なんとか勝利できそうだな……私は安堵していた。しかし、この時の私はまだ気づいていなかったのだ。前方のグリフォンと同じ瞳の獣に周囲を包囲されていたことに……。
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