119話 大部隊 2
(クリフト王子殿下視点)
次の日の朝になった。本日はエコリク大森林の調査の1日目になる。野営地から侵入していき、ある程度の場所までの散策。それが終われば戻って来るという具合だ。
アイラやテレーズ達が作ってくれた、各種アイテム類は豊富にある。調査部隊の人数は精鋭の300人。数だけで言えば大部隊とは言えないが、規模数千人に上る一個師団を相手にしても互角に渡り合える精鋭たちだ。
私とロブトー兵士長が中心になり、人選をした。
「クリフト王子殿下、おはようございます」
「ロブトー兵士長か、おはよう」
「本日は晴天に恵まれているようです。グリフォン探索は滞りなく進められるでしょう」
晴天というのは好都合だ。以前に訪れた時も天気は悪くなかったが、やはり雨と重なってしまうと索敵に支障が出てしまう可能性があるからな。
「シグルド・バーゼル殿を始めとして、腕利きの冒険者チームも参戦してくれています。そして、数々のアイテム類に精鋭300人。これだけの戦力が揃っていればグリフォンに遭遇したとしても、間違いなく打ち倒せるでしょう」
「ああ、確かにな」
今回の準備に比べれば、以前の準備は不足気味だったと言わざるを得ない。下手をすれば、愛する者を亡くしていたかもしれない事態だった。その点に関しては猛反省だな。出来れば、サイフォス殿やカミーユ殿にも参戦はしてもらいたかったが……そう上手く行くものではないか。
今回集めた戦力も次の時には必ず集められるとは限らない。今回で、エコリク大森林の安全性を約束出来る調査をする必要があるな。
「さて、ロブトー兵士長。兵士達と冒険者たちに連絡をお願いする。準備が出来た者から、大森林の入り口付近に集まるようにと」
「畏まりました、王子殿下」
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(アイラ視点)
「完成っと」
私はエンゲージのお店の裏にある調合室で、ネプトさんから依頼された薬品を作っていた。その名もオーセントポーション。素材が偽物か本物かを見分けられる優れた薬品だ。ネプトさんの受け売りだけど。
「相変わらず、おそろしい手際の良さね……感心するわ」
「ありがとう、シスマ。でも、シスマだってノーミスで作れてるじゃない」
「まあ、このクラスの薬品ならレシピがあれば比較的、簡単だから……」
オーセントポーションの数としては、私の方が多いけれどそれでもシスマの手際は明らかに上達しているようだった。最初に錬金勝負をした時とは大違いね。私も抜かれないように気を引き締めなくちゃ。
「そういえば、ネプトさんから錬金術を教わりたいと言っていたけれど、本気なの?」
そんな時、シスマが怪訝そうに質問してきた。私はオーセントポーションをまた1つ完成させながら答える。
「当たり前じゃない、錬金術士として相当に腕利き言われてるんだから。シスマだってネプトさんから教えを請いたいと思っているでしょ?」
「それはそうだけれど。私はともかくとして、アイラが教えを請う必要があるとは思えないけど」
「? どういう意味?」
「多分だけど、あなたの方が技量が上だって言いたいのよ」
ま、まさか……一種の冗談かと思っていたけれど、シスマの表情は至って真剣だった。私の方が技量が……? 確かに、エリクサー等を作ることに関しては上かもしれないけれど、それ以外の部分で勝てるとは限らない。
「そんな早急に決めなくてもいいじゃない。楽しみにするのは問題ないでしょう?」
「問題はないけれど、がっかりしないようにね」
がっかりしないように、か。それってつまり、オイゲン商会の直営店の薬品売り場を見た時のようにがっかりするなって言いたいのよね。まあ、あの時がっかりしたとは言葉にはしていないけど、シスマは気付いていたんだと思う。
大丈夫よ、だってネプトさんは冒険者ランキング1位のチームリーダーを務める人だもん。私の知らない未知の技術を持っていたとしても不思議じゃないんだから。私の期待はいつの間にか、かなり大きくなっていた。
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