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115話 偽物 1


「これは……」


「グリフォンの翼……?」


「そのようだね、まさかグリフォンの翼が出て来るとは予想外過ぎたのだよ」


 半強制的に秘密の出口から出て来た冒険者の荷物を手にし、私達は中身の確認をしていた。ネプトさんはすぐに分かったみたいだけど、私もグリフォンとの戦いは経験しているからすぐに分かった。この色合いは独特だし間違いない。


 ネプトさんも頷いているので余計に確信できた。


「……君たちが、グリフォンを……」


 ネプトさんは冒険者二人の顔を見ている。見られている二人は、挙動不審になっていた。


「君たちの名前はなんだね?」


「き、聞いてどうするんだよ? か、関係ないだろ……!?」


「興味本位さ。そちらは私のことを知っているようだが、私は君たちを知らない。名前で呼ばないと失礼だろう?」


「くっ……」


 二人の冒険者は自分の名前を出すことを渋っていたけど、この状況で逃げられないことも悟ったのか、話し出した。


「アンバー・ネメスとオリバ・カールだよ。俺が一応はリーダーだ」


 アンバーと名乗った一人が軽く手を上げて言った。その隣に立っている人がオリバ、ね。


「ありがとう、アンバーにオリバ。それで? 君たちはこれから何をするんだい?」


「ああ? 別に何でもいいじゃねぇかよ。なんであんたにそこまで監視されないといけないんだ?」


「申し訳ないことだが、君たちはグリフォンの強さを知っているのかい?」


「な、なんだと……?」


 ネプトさんからの問い詰めはまだまだ続く。少し怒っていたアンバーだったけど、話題がグリフォンの羽の件になると、急に黙り込んでしまっていた。私はそのやり取りを傍観しているだけだけれど、ネプトさんの言いたいことは分かる。


 本当に彼らが仕留めたのであれば、全く悪びれる様子なんて出さなくていいはずだからだ。それに……私も冒険者とグリフォンの戦いを間近に見たので分かる。カミーユやサイフォスさんといった上位冒険者でもかなりの苦戦を要したグリフォン。


 とても目の前で挙動不審になっている二人が仕留められるとは思えなかった。


「非常に申し訳ないが、グリフォンの強さは私も知っているのだよ。君たち二人では……とても倒せるとは思えない」


「な、なんだと……!? おまえ、俺たちのことを馬鹿にしてるのか!?」


「ね、ネプトさん……」


 ちょっとだけ、雲行きが怪しくなってきた。私はネプトさんに声を掛ける。「大丈夫なんですか?」という意味を込めて。


「アイラ君は少し下がっていてくれるかな? 巻き込んでしまうと申し訳ないからね」


「は、はい……」


 ネプトさんは私を後ろへと下がらせ、壁のように立ちはだかってくれた。温度感が高いアンバーとオリバの攻撃の巻き添えにしないようにという配慮だろう。


「他人が手に入れた素材を金で買ったのかね? それとも精巧な偽物を買わされているか……どちらにしても、このまま見過ごすことは出来ない事態だね」


「う、うるせぇ! お前みたいな冒険者界隈の頂点の人間に何が分かる!? お前なんかに……俺たち、底辺冒険者の苦労なんざ絶対に分からねぇよ!」


「その話に関しては同情しないわけではないが……上位に居る者たちもそれぞれ、悩みは持っているものさ。それが分からない間は、何を言っても無駄かね」


「こ、この野郎~~~!」


 頭に血が上った二人は、街中で剣を取り出していた。流石に洒落にならない……ネプトさんもそう感じたのか、私が気付いた時には既に前には居なかった。


 彼らの手に持たれている剣を不思議なパワーで止め……強烈な蹴りでそれぞれを攻撃していた。


「ぐわっ!」

「がはっ!」


 アンバーとオリバの二人は吹き飛ばされ、地面にダウンする。剣は宙に浮いたまま、ネプトさんが回収していた。俗にいうサイコキネシスのようなものかしら? 相当な手加減をしたというのは私でも分かるくらいだった。


「大丈夫ですか、ネプトさん?」


「私は大丈夫だよ。アイラ君も特に怪我はないようだね」


「はい、私も大丈夫です」


 五芒星の人達がガードしてくれているはずだしね。


「さて、詳しく話を聞かせてもらおうかね。オイゲン商会の2階部分について……」


「ぐぐ……くそう……!」


 倒された二人も特に大怪我をしている様子はない。せいぜい、打撲程度だろうと予想できる。ネプトさんの手加減は非常に絶妙だった気がしてならないけれど。とにかくこれで、証人ゲットってところね。

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