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102.熱、再々熱

 



 フカフカの感触。

 どこか安心する匂い。

 それらを感じた瞬間、私の瞼は抵抗する事もなくゆっくりと開いた。

 じっくりと寝た満足感と、むくみも感じない最高の目覚め。


「ん~」


 ただその高揚感は、一瞬にして消えてなくなる。


「あ……れ?」


 いつもの部屋ではない光景。

 いつもと違う布団と枕。

 そして……床で寝ている太陽君。


 ……えぇ!? これってどういう事?

 頭の中は混乱状態だった。


 えっと、あの……ここってたたっ、太陽君の部屋だよね!?

 まじまじと眺めると、以前遊びに来た太陽君の部屋である事は確かだった。


 それで? なんで私ベッドに? 

 自分の覚えている限りの記憶を蘇らせると、辛うじて2人で公園に行ったところまでは容易に思い出せる。ただ、それからどうしてこんな状況になったのか……


 えっと、確か乾杯して色んな話はしたよね? めぶり祭りの話とか……ゴールデンウィークの話とか……滅茶苦茶楽しかったのは覚えてるよ。それで途中でなんか体が温かくなって、気持ち良くなって、あれ? そこから記憶がない?


 いくら頑張ってもそれ以降の記憶は思い出せない。とはいえ、いくら何でも人のベッドの中でぬくぬくとしている訳にはいかず、私はゆっくりと起き上がった。

 ふと目に入った太陽君は、絨毯の上に横になっている。それに羽織っているのはタオルケット1枚。思わず布団をそっと掛けると……テーブルが目に入った。

 そこは、炭酸飲料のペットボトルに1本の缶。レモンが描かれたそれにはどこか見覚えがある。


 あれ? 公園で乾杯した時、私なに飲んでたっけ? 確か太陽君はペットボトル……私は……

 その瞬間、朧気だった記憶が鮮明になる。公園で自分が飲んでたのは500mlの缶ジュース。そして、目の前に置かれたそのレモンの描かれたものに間違いない。

 ただ、テーブルの上にあるそれをよく見ると……


「これは……お酒です!?」


 ……あぁ、やってしまった。

 テーブルに置かれたお酒。それもアルコール度9%という代物を前に、大体の流れを察してしまった。

 暑くなったのもフワフワして気持ちよくなったのも記憶がないのも……それが要因に違いない。

 そして追い打ちを掛けるように、考えてしまう記憶のない時の自分の様子。何を言ったのか何をしたのか……そればかりは、自分で知る由もない。


 とっ、とにかく起きなきゃ。って、待って? 服……は着てる。たっ、太陽君の事だからそういう事はしないと思ってた。いや、太陽君なら全然いいんだけど……ってバカっ! とりあえず起きないと。


 とりあえず立ち上がった私は、もう一度状況を整理する。

 ここに居るという事は、太陽君が連れて来てくれた。

 そして自分のベッドに寝かせてくれて、自分は床。

 一晩お世話になり、私は五体満足でこうして朝を迎えられた。

 つまり、とんでもなく迷惑を掛けていたという結論にたどり着く。


 ……やっば。やばいやばい。どどっ、どうしよう。えっと、スマホスマホ……ポッケか。えっと時間は5時10分ね? 太陽君はまだ寝てるし、そっ、そうだ! せめて朝ご飯準備しよう。うんうん、何やらかしてるかは分からないけど、それは話を聞いてから何とかするとして……うんっ!


 スマホの画面を鏡代わりにし、手で髪をとかすと……私はなぜか腕につけていたゴムを使い髪を結う。そして、さすがに勝手に冷蔵庫の中を見る訳もいかず、とりあえず近所のコンビニで食材を集めることにした。


 じゃあ、ちょっと行ってきまーす。




 ふぅ。ただいま。

 ゆっくりとドアを閉めると、即席で購入した食材をキッチンに置いた。

 調理する時間も考えて購入した、パックご飯にレトルトのサバの味噌煮にひじきに漬物。納豆にインスタントの味噌汁、味噌汁に入れる野菜少々。手作りと言えるおかずは卵焼きだけという状況に、物足りなさを感じるものの……とりあえず今はこれで作るしかなかった。


「よっし。やるぞぉ」


 私は一つ息を吐くと、早速朝食作りに取り掛かった。


 そういえば、酔っ払った私どうだったのかな?

 変な事言ってないよね? してないよね?

 それにどうやってここまで来たのかな? 記憶がないからどうしたのか分からない。辛うじて歩けてた? もっ、もしかしておおっ、おんぶとか? いやぁ重かったよねぇ……さくらまつりでいっぱい食べたから余計に重かったよね? やだぁ……恥ずかしい。


 とっ、とりあえずは美味しいご飯食べてもらわないと。その後、謝って……話聞いて……それ相応のお返しする。うん。だからまずは丹精込めて料理を作る。それに集中しないと。


 ……あれ? 手作り感がないとはいえ、異性に料理ふるまうのって初めてかも。しかもその相手が太陽君? うぅ、なんか変に意識しちゃう。いや、全然太陽君になら毎日でもいいんだよ? でも、だとしたらやっぱり最初は、全部手作りで自分の味をゆっくり堪能して欲しい訳で……って何考えてるのよ私。あっ、あせらず平常心……


 ガタッ


 えっ? あっ!


「あっ! たたたっ、太陽君」

「えっ、ちっ千那?」


「おおおおっ、おはよう!」




次話も宜しくお願いします<(_ _)>

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