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妹と旅する曰く付き異世界  作者: 智慧じゃこ
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その後数日間④結衣視点2



カラスではない変な鳥の鳴き声が聞こえます。クーックーッだって!目で情報を得られずとも音でも十分に情報が得られます。この鳴き声が聞こえるという事は日が落ちたという事!


つまり閉店時間となりました。最後のお客さんを見送りお仕事終了です。途中休憩を挟んだりしたけど、ずっと外で口を動かしていたので喉がカラカラです…何か飲みたいなー。


そう思っていると隣から足音が聞こえてきた。


「あの!こんにちは!隣でドリンク専門店を開いてるギルド『水の音色(ヴァッサートーン)』のセスティという者です!」


お隣さんでした。当日にお引越し?の挨拶という事で大判焼きセットを渡したら喜んでた。…もしかしたら隣がうるさくて文句を言いに来た可能性があります!お兄ちゃーん!助けてー!


「こ、こんにちは…今お兄ちゃ、ギルドマスターを呼びますので待ってて下さいっ」


ええっとお兄ちゃんの気配は…っと

やっぱりこの世界に来てから人の気配というか、オーラというか、そんな感じのものが人によって違いが分かってどこに誰が居るかだんだん分かるようになってきました。家の中もわりとスイスイ歩けるよ。


「あいたぁっ!」


調子に乗ると分かりにくい小物に躓いて転びます…いたいぃ


「大丈夫か?結衣」


「うん…大丈夫。そんなことよりお隣さんが来てるよお兄ちゃん!」


「そうなのか、何の用だろ」


また外へ向かいます。やっぱりお兄ちゃんの後ろを付いて行くのが一番落ち着くね!自然と手を引いてくれるので割と一人でも歩ける事は内緒です。絶対です!


外にでるとまだセスティさんという人はその場にいました。いや、当たり前だけどっ


「おまたせしました、セスティさん。何かありましたか?」


「あ、天塚さん。こんにちは。今日は、お礼を言いに来ました!」


「ん…?お礼?」


「お兄ちゃんなにかしたの…?」


「いや、特に心当たりはないけど…どういうことでしょう?」


「その…私の店は飲み物専門店なんですが、やっぱりそれだけだとお客さんも中々来なく、閑古鳥が鳴いていたんですよ。商人ギルドの決まりの1季に1金貨も前季分の納期期限がもうすぐなんですが、危うい状態でした。」


1季に金貨1枚。そういえばそうでした。金貨は確か地球のお金に換算すると100万だったよね…高いよね。命の危険が無い変わりにお金がかかる!冒険家ギルドは簡単な依頼を1季に1度クリアすればいいだけだもんね。それだけじゃお金足りないからどんどん依頼こなさなくちゃいけないだろうけど。


「ですが天使さん…三羽の野兎(アグニスティア)さんが隣にお店を開いてくれたおかげで一気に売り上げが伸びたんです!甘い物を食べたら飲み物が欲しくなるなって言いながら買っていくんですよ!売り上げが既に前季の20倍ペースです。」


「20倍…それはー良かったですね…?」


「はい!本当にありがとうございます。お礼…って飲み物ぐらいしか今は無いんですけど、うち自慢の飲み物です。人数分ありますのでどうぞ!」


「おお、ありがとうございます。これからもお隣同士仲良くしましょう。」


「こ、こちらの台詞でございます!本当に宜しくお願い致します!」


お兄ちゃんがまた1人、人を救ってしまいました。たまたまだけど、でも流石といいます!


お兄ちゃんから飲み物を受け取って飲むと、爽やかなフルーツっぽいのみものでした。パイナップルに近い酸っぱさがあります。この世界では冷蔵庫みたいなものがあまりないみたいなのでキンキンに冷えてるわけじゃないけど、でも結構おいしいです。水分が抜けた身体に染みわたります…


あ、因みにうちのお店には冷蔵庫っぽいものありました。特殊な魔法道具みたいで結構貴重らしいです。そんな高そうなものくれるなんてお姫様太っ腹ですねっ!


あ、知ってる気配が近づいて来ます。これは最近覚えた気配です。


「そーたおにーちゃん!来ましたで()!」


「こんにちは、来た、わよ。」


「おーいらっしゃい」


「そーたおにーちゃん何飲んでるで()か?」


「ああ、これ今お隣から貰ったんだ。飲みかけだけど飲むか?」


「わーい飲むで()!」


「「あっ…」」


ゴクゴクとニナちゃんが飲み物を飲む音が聞こえます。もしかしなくてもお兄ちゃんが飲んでいたコップで!ま、まーでもお兄ちゃんと間接キスなんて私は日常茶飯事だしっ!日常茶飯事…あれ、本当にそうなのかな…?見えないから実際の所分からない…もしかしたらした事なかったりするかも…


「二人共どうした?今から飯作るから、二階上がって待っててくれ。」


「あ、うん。楽しみに待ってるねっ!」


「御馳走に、なる、わね。お邪魔します。」


「んん…?ああ、待っててくれ。」


中に入るとシャロちゃんとニナちゃんは料理場で片付けをしてる人達にも挨拶を済ませて上に上がります。


「何もない所ですがどうぞどうぞ」


「あ、どうもどうも…お気になさらず」


「「……」」


どうしよ、なんか気まずい…えっと何か話題は…


「な、何かいま()よ!?魔物で()か!?」


ニナちゃんがウサちゃんを見て驚いています。魔物じゃないよー


「あ、この子はウサギっていう動物なんだよ。魔物じゃないよっ!」


「ウサギさんで()かー!かわいいで()ねえ?さわってもいいで()か?」


「いいよー大人くて可愛いでしょ。」


「はいで()!」


「ウサギ…いつか聞いた事があるよな…?」


ウサちゃんのお陰で少し場が繋がりました。この調子です!


「「……」」


駄目です!次の話題を考えないと!みんなどんな話しを普段するんだろう…

そう思ってるとニナちゃんが突然歌い始めました。


「ごっはんーごっはんーおにーちゃんっのごっはんーなっにかなー?くーろいーかったパッンサックサク美味っしいー。うっすあっじスープはかっらだっにやっさしー♪おーばんやっきはっ1食はんぶんっこー♪」


「二、ニナ!その歌は恥ずかしいからやめなさい…」


「そうなんで()か?」


黒パンと薄味スープ…?大判焼きは1日半分って普段どんなの食べていたかな…ちょっと可哀想になってきました…まだ幼いのに。


「お兄ちゃんのご飯、すごく美味しいから期待してていいよ!」


「おおー楽しみで()!柔らかいパン…も、もしか()るとお、お肉とか…」


「ニナ!涎垂れてるから!もう…」


「あははっ、お肉あるかもね?そういえばニナちゃんは何歳なの?」


「えーっと、42歳で()ね!」


「へー、42歳………え?」


42歳…?うそ、かなり年上だった…え、でも…そうなの?確かお兄ちゃんは吸血鬼(ヴァンピール)とかいう種族だって言ってたけど、成長が遅いのかな?う、うーん今後どう接すればいいのか分からなくなりました…


「そ、そうなんです…ね。」


「結衣おねーちゃんは…80歳くらいで()か?」


「えっと…私は10歳なんです、けど…」


「ええ!うそで()よー!」


う、うそじゃないんだけど、どうしよ…本当に成長速度が違うのかもわからないしどう説明すれば…


「えっと、天使結衣、さん。」


「あ、はい。なんでしょうシャロちゃ…さん」


「ワタシ達の世界だと、50日でひとつ歳を重ねるんだけど…もしかしてそっちだと違うのかしら。因みにワタシは84歳よ。」


「あ、そうなんだ!私の世界だと365日で1歳なんだっ。すごい歳上かと思って焦ったぁ…あ、因みにこの世界だと400日みたい。」


えーっと84歳って事は……地球だと11歳と半年ぐらい?。ニナちゃんはもうすぐ6歳になる所ぐらいかぁ、小学一年生間近だね。


「365日…その半端な数字ってもしかしてだけど…地球から来たの?」


………しまったー!!つ、つい自分の世界の話ししちゃった!内緒っていう事だったのにどうしよう!お兄ちゃんに怒られるうう…と、とりあえず落ち着いて誤魔化そう。


「や、え、えっと、そ、そう…だったっけぇ…?」


「都合悪いなら別に言いふらしたりしないわ。ただ、私のおじいちゃんも地球から来たらしかったから気になったの」


「そ、そっか。それじゃシャロさんには私達と同じ地球人の血が流れてるんだねっ!」


「そうね。……後、シャロでいいから。」


「あ…うん、じゃぁシャロちゃん!私も結衣ちゃんでいいからねっ!」


「ゆ、結衣って呼ばせてもらうわ。」


「結衣おねーちゃんで()!」


ふぅ…良かった。2人とは仲良く出来そうです。地球人の血が流れてるのかぁ…不思議。

そういえば考えた事なかったけど、シエラって9歳言ってたよね…この世界で9歳っていうことは地球だと10歳…もうすぐ11歳?私と同じくらいだっ!


少しするとセラさんとイーヤさん。それにシエラが料理を持って2階に上がってきました。ルナちゃんはまだお兄ちゃんの所で別のお手伝い中だそうです。


壁に立てかけてある軽めの木で出来た大きいテーブルを部屋の真ん中にセットします。テーブルにお皿を置くときの音的にお皿も木か何かで出来てるのかな?普段と違う音を立てながら机に料理が並べられていくのが分かります色々ないい香りが漂ってくる。


えっと…お肉とお醤油の匂い…ステーキな気がする。やったぁ!

後は何かな…お肉を出す時はいつも大量のサラダがあるからそれが一品と。後は…パンの香りがする気がする。お米じゃなくてパンとお肉で食べるのかな?


並べ終わるとお兄ちゃんとルナちゃんが来ました。


「皆おまたせ。今日はシンプルにステーキとサラダ。パンがあるからそれに挟んで食べると美味しいぞ。パンが柔らかくて肉汁が染みやすいから野菜をひいてから肉を載せるのがベストだ。」


「ご、ごちそうで()…」


「そ、そうね…後でお金取ろうとしてもないわよ…?」


「いや取らないよ…食後のデザートもあるから食べ過ぎ注意な」


デザート!流石お兄ちゃんです。デザートが後に待ち構えてると思うとワクワクします。何が出てくるのかなー


「それではいただきます。」


「「「「「「「いただきます!(())」」」」」」」


日本の食前の挨拶にも皆慣れたものです。シャロちゃんとニナちゃんはおじいちゃんがやってたのでしょうか?何も疑問に思わず皆と合わせてきました。


「お、美味しいで()!お肉とても美味しいで()ね!お姉ちゃん!そーたおにーちゃんと同じくらい美味しいで()!」


「そ、そうね!…じゃなくて!天使蒼汰を食べ物として見るんじゃありません…」


「いひひひっ」


「変な笑い方しないの!」


お兄ちゃんを食べ物に見るなんて…!………お兄ちゃんの血ってそんなに美味しいのでしょうか。気になります。


「結衣…まさか俺の血の味が気になるとか思ってるんじゃないだろうな?ほら、結衣の分だぞ」


ギクッ。なんでも御見通しです…

ここはおねだりで誤魔化すしかないですね!


「あーーん」


「…全く、しょうがないな。」


モグモグ。えへへ、優しいお兄ちゃんです。お肉も食べやすいように細かく切れてました。絶賛甘やかされてますっ!このお肉は最近ちょくちょく出てくるやつだ。お兄ちゃんの手によって柔らかくなってしまった硬肉です。あなた…柔らかくなれてしあわせね。


あっという間に完食です。

ちょっとお腹いっぱいになってしまいましたがまだデザートがあります!…不思議だよね、デザートがあるって思うとデザート分胃に隙間が出来る感じがします。


「んじゃデザートだな【次元袋】にしまってあるから今だすぞー…はいっと。」


ついにその姿を現します。見えないけど!


「おにー、さん!これ、朝作ってた、やつですか?すごい、です!こんなふうに、固まるですねぇ」


「いろんなフルーツが飾られて綺麗で()!」


「食べるのもったいないわね…」


「あ、ナババが星型になってる。ソウタって器用ね…あ、キューイとかも入ってるのね!」


「アタイには眩しすぎるデザートだぜ…」


「ふわぁ…」


人それぞれ色んな反応しています。

ナババとキューイってなんだろう…この世界の果物なのかな?名前だけ聞くとバナナとキウイかなって思うけど当たってるかな?その2つが入っていて、朝作ったものが固まる…うーんなんでしょう?


「このデザートの名前はプリン・アララモードだ」


アララモードってお兄ちゃん…!プリンアラモードの事だよね?異世界の果物が混じってるからちょっと変えてアララモードなの?


「味は…甘い物ばかりだとアレだからスッパいのも載せてある。クチスボ実も入ってるから苦手な人は注意してくれ。」


そこからは絶賛の嵐でした。やっぱり女の子にデザート渡しておけばご機嫌メーターすぐにMAXだね!シエラが後でセーラ様に自慢しよっとって言ってるけど、お兄ちゃんの事だからお姫様の分も残してあると思う。


そういえば…男がお兄ちゃんしかいないけど、疲れたりしないかな…?女性相手に常に気を使ってそう…

。あんまり頑張り過ぎないでね、お兄ちゃん。




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