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ゆきひめ ~六花天成譚詩曲~  作者: いのれん
Last ∞th Part. 地に墜ちた雪花は、天へと昇る
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218. 神域に辿り着いた者と神の戦い

 サクヤが苦闘を強いられている中、神樹ラファエルへと向かったルリフィーネは……。


「無駄ですよ。異世界からの来訪者といえども、私を倒す事は出来ない」

 神樹ラファエルの枝と蔓を叩きつける攻撃を難なく避けていき、幾度も拳や足による打撃を叩き込んできた。

 

 だが、生みの親である機械世界のマザーを半壊させたルリフィーネの攻撃は、神樹ラファエルにはまるで通用していなかった。


「手ごたえはありますが……、破壊を上回る再生ですか」

 何故なら、彼女が与える損傷よりも回復する速度の方が圧倒的だったからだ。


「それならば……。必殺、粉骨砕神!!」

 ルリフィーネはマザーを倒した時と同じ様に、より強い力を以ってラファエルを破壊しようとした。

 穢れた大地を強く蹴り、とてつもない速度を伴ったまま拳を前へ出して神樹へと特攻する。


 神樹は今までと同様に枝や蔓を使ってルリフィーネを迎撃しようとしたが、最強の使用人の勢いはその程度では止める事も出来ず、衰えさせる事も敵わず、突き出した拳がラファエルの胸へと深々と突き刺さると、ルリフィーネは再び大声をあげて気合を入れて瞬間的に強く押し込む。


 その衝撃により、ラファエルの胴体は粉々に砕け散っていき、神樹と一体になった天使は視線を落としてぐったりとしてしまった。


 傍から見れば、ラファエルの最期は疑いなかった。

「……」

 しかしルリフィーネは構えを解かず、神樹との間合いをあけて構えたまま様子を窺い続けた。


「ふふ……」

 ルリフィーネの予想は、悪い意味で的中してしまう。

 粉々に砕けたラファエルの肉体は、まるで時間が遡るかのようにみるみると元に戻っていき、何事も無かったかのような笑みを見せてきたのである。


「随分頑丈ですね……」

 自身の拳を受けてけろっとしている様子に、ルリフィーネは呆れと苛立ちの笑顔を見せてしまうと共に、地面に穴が開くほど強く踏み込みながら再び神樹へと迫ると……。


「奥義、神討滅却!!」

 両足を揃えて跳躍し、スカートをたくし上げて再生した胴体部に力強い脚撃を見舞った。

 ラファエルは再び粉々になり、瞳の光を失いぐったりとしてしまう。


「だから無駄だと言っているでしょう? 私は出来損ないのあなたの母とは違うのですよ?」

 どんな強い力で攻撃しても、たちまち再生し蘇ってしまう。

 ラファエルの瞳には再び不純な緑色の光が宿ると、穏やかな笑顔のままルリフィーネへそう告げた。


「あまり人を馬鹿にすると、痛い目を見ますよ?」

「強がりですね……」

「強がりかどうか、これを受けてから決めなさいっ!」

 それでもルリフィーネは諦めていなかった。

 それは、スノーフィリアや世界を救うという揺るがない意思を持っているという事もあったが、彼女のとっておきが残されていたからだった。


「はぁ……」

 ルリフィーネは、遂にそのとっておきを使うべく、深く呼吸し荒ぶる精神を落ち着かせて意識を集中させていき……。


「奥義、神螺万掌・天昇撃!!」

 暴走したサラマンドラを討伐した時に放った、自身最高の技を繰り出す。

 彼女の拳が、周囲にたちこめる不浄な深緑の霧に負けないくらい強く光り輝くと、それをラファエルの胴体へと再び叩き込む。

 瞬く間に光は、空から星が地上へ落ちてきたかのような衝撃と轟音を発しながら爆発し、ルリフィーネの周りを白い光で包み込んだ。


「制裁完了。どうか、やすらかにお眠り下さい」

 手ごたえはあった。

 例え相手が本当の神であったとしても、今度こそはただではすまない。

 ルリフィーネはそう確信し、スカートを軽くたくし上げて勝利のポーズをとろうとした。


「まだまだ私は眠りませんよ。あなた如きに引導を渡される私ではない」

 だが、戦いはまだ終わらなかった。

 光がおさまり、辺りが再び深緑の霧に満ちていく中、ラファエルの穏やかな声が聞こえる。


 そして光が完全に消えると、崩れ落ちたはずの神樹がみるみると元へ戻っていく様子が見えた。


「あれは……?」

 ルリフィーネは、その無情な現実の前に驚きを隠せずにいた。

 しかしそれ以上に、最強の使用人は”ある物”に気づくと、サクヤと戦っている逆翼のスノーフィリアの方を何度か確認する。


「これ以上あなたに構っていても仕方ありませんね」

 そんな中、ルリフィーネの奥義を受けた事による損傷の回復が終わると、神樹ラファエルは首を横へ振りながらそう言うと……。


「そこで見ていなさい、世界が変わり行く様を。そしてかみ締めなさい、私の前では全てが無力であると……」

 ラファエルの頭上には、なにやらこことは違う別の風景が映りだす。

 ルリフィーネはその風景を見ると、目を見開き戦慄してしまった。

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