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212. 正夢
「う、うぅ……」
女王は、死と隣り合わせだった。
美しいドレスは破れてしまい、傷と埃にまみれ表情にはかすかな生気しか残っていない。
「み、みんな……」
そんな苦しい状況であっても、スノーフィリアは親しい仲間達を呼んだ。
「……」
「……」
「……」
しかし、その声に反応する者は、誰一人居なかった。
スノーフィリアは、かろうじて開いた目で周囲の景色を見て、戦慄した。
原型を留めていないほど崩れた城と町、曇った空、既に事切れている仲間達の姿。
何もかもが色と命を失い、限りなく灰色に近い世界が広がっている。
それはまさに、過去にみた滅びの夢の再現だった。
「どうして、こうなっちゃったのかな……」
そして、そんな暗色な景色の中で一際彩りを見せている存在が一つ。
空に浮いたその存在の姿は遠くにあるせいか、どんな姿をしているかは解らない。
だが、それが天使の少女が言っていた”ママ”であるというのを、漠然とだが理解していた。
もうどうする事も出来ない。
夢の通りになってしまった。
絶望したスノーフィリアはうっすらと涙を流すと、眩い閃光と共に世界は真っ白に染め上げられていく。
その瞬間、女王の意識は完全に途絶えてしまった。
スノーフィリアの旅は、徒労に終わった……。




